近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方(企業価値研究会)平成20年6月30日
さて、この新しい指針の特徴の一つはブルドックソース事件を意識して、買収防衛策発動にあたって買収者に金銭の交付を行うことは強く否定していることだ。金銭の交付に関しては、現時点で弁護士や教授の様々な解釈があり、どれが良いのか正直よく分からなかったのだが、企業価値研究会としては反対ということで、一つの大きな判断基準になりそうだ。
次に、買収防衛策の発動は、株主総会の賛成多数を持って直ちに発動できるものではないとあった。「株主の意思を確認するに当たって取締役会が株主に対する説明責任を果たしたかどうかの他、買収者の属性、買収提案の内容や被買収者の株主構成などの点が買収防衛策の発動の公正性を判断する上で勘案されるべき」とのこと。
また、特別委員会については、特別委員会の勧告内容に従うという最終的な責任は取締役にあると。株主総会の決議を経ようが、特別委員会の勧告があろうが、防衛策を発動する責任は取締役にあるのだから、説明責任からは逃げるなよと言いたいのであろう。
従来の買収防衛策の内容と比較しても、今回の新しい指針で特に変更すべき点はないように思われた。要するに、新しい指針は、それほど奇抜な内容ではなかったということだ。最近の日経新聞は買収防衛策は悪であり、誰もが反対しているかのように書いているが、やや煽り過ぎではないだろうか思う。
今後、買収防衛策を導入する企業が、どういう内容の防衛策を導入するのかに注目したい。
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・ブルドックソース事件の考察
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