2016年6月21日火曜日

「アルスラーン戦記」が王道ながら面白い!

「アルスラーン戦記」を知っているだろうか。僕はたまたまユーチューブでアニメのプロモーション動画を観て気になり、漫画を1巻から購入して一気に読んだ。


アルスラーン戦記(1) (週刊少年マガジンコミックス)
  • 作者: 田中芳樹,荒川弘
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/09
  • メディア: Kindle版

アルスラーン戦記を一言で言うならば、「王道」の中世王国騎士物語だ。主人公は大国パルスの王太子アルスラーン。楽勝かと思われた初陣で大敗し、敵国に王都を占拠され、命からがら生き延びる。主人公は剣技が優れるわけでも、戦術に通じているわけでもなく、普通なら逃亡の途中で捕まって人生が終わりそうなのだが、その人望に魅せられ非常に優秀な部下が集まり、破竹の逆転劇が始まる。数か月後には王都奪還が実行できるほどの大軍を連れて、敵国と激突…。

あらすじは、どこにでもありそうな王道ストーリーだが、主人公の出生の秘密や、王族の血縁関係、宗教、奴隷制度といった生々しい問題を上手く絡めており、主人公が精神的に成長していく(王らしくなっていく)過程が面白い。

ワクワクして、早く次が読みたくなるような面白さではないのだが、戦国モノにお決まりの残酷なエロシーンもなく、こういった騎士が騎馬に乗って激突するような王道の戦国騎士モノが好きな僕のような人間には、安心して楽しみながら読み進めることができた。また出て来る戦士たちは、皆それぞれカッコ良く描かれており、それも楽しめるポイントだ。

ただ、天邪鬼な僕としては、いくつかの疑問点がある。まず始めに、第一次アトロパテネ会戦後の王太子アルスラーンの討伐が手ぬるかったことだ。最初にカーラーン将軍が1000人規模で討伐して、それをあっさり(それも数名に)ひっくり返され、かつ将軍が打ち取られているのだから、それ以上の軍を起こして徹底的に叩いておくべきではなかっただろうか。なんせアルスラーンは反体制の旗幟になる人間、本人の能力は大したことがなくとも、祭り上げる人間に知恵があれば、将来的な脅威になることは間違いない。また、側近のダリューンは、「アルスラーン戦記」の世界では3本の指に入るくらいの強さを備えた戦士であり、彼一人を打ち取るためだけに、100人規模の特別部隊を編制しても大袈裟ではなかっただろう。無敵のパルス軍を破ったルシタニア軍としては、この辺りの対応が、あまりにお粗末ではないだろうか。と思っていたのだが、よく考えてみれば、第一次アトロパテネ会戦での勝利は、パルス側の将軍1名(それも参謀に近い)の裏切りと、銀仮面ヒルメスの活躍があったからの勝利であり、やはりルシタニアの人間はアホだった、という結論なのだろうか。そう考えると、リアリティがあるな。

あと、ストーリー序盤で(良く分からない理由で)仲間になったギーヴ(流浪の楽士)とファランギース(女神官)、どう考えても強すぎる。個人的には好きなキャラなのだが、世界観が崩壊するくらいこの二人が強すぎて、この二人に軍師ナルサスと無敵騎士ダリューンさえいれば、この世界では不可能なことなどないような気がする。逆に、ルシタニア側がかわいそうになるくらいである。

その他、エステルやタハミーネといった騎士や軍師以外のキャラも魅力的なところが、この漫画に飽きが来ない理由だろう。また、使われている言葉も「マルズバーン(万騎兵)」とか「ヤシャスィーン!(突撃!)」「宝剣ルクナバード」など、語感が妙にカッコいいのだ。


連載しているのが別冊少年マガジンなのでコミックの更新頻度は遅いが、原作の小説はまだまだ続いており完結していないので、これから「アルスラーン戦記」の新刊を楽しみにしたい。時間があれば光文社から出ている文庫本やアニメのDVDでも鑑賞してみようかな。

2016年6月14日火曜日

大前研一氏は「ニュースの視点」の担当者を変えるべきだ

僕は昔から大前研一氏のことが結構好きで、このブログでも何度か書籍を紹介しているが、当然ながらビジネス・ブレークスルー大学(BBT)が提供している無料のメルマガ「大前研一ニュースの視点」も購読し、いつも経済についてホットな話題を勉強させてもらっている。

内容は相変わらずのキレの良さで、無料でこの内容を読ませてもらえるなんて、大前氏には感謝しているわけであるが、最近、残念な誤字が目立つので、直近のものを紹介しておきたい。


■平成28年6月現在で「野党・民主党」



■三菱自動車の「相原社長」(誰だよ・・・)



はっきり言って、どちらも相当レベルの低いミスであり、悪いことは言わないので、大前研一氏は「大前研一ニュースの視点」メルマガ事務局の担当者をさっさと変えるべきではないだろうか。なお、BBTホームページよると、この「大前研一ニュースの視点」メールマガジンは現時点で17万人にも配信されているそうなので、早めに対策を打つことが望ましい。

ニュースで学べない日本経済
  • 作者: 大前研一
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/04/14
  • メディア: 単行本

もし僕が大前氏だったら、担当者には「日経新聞くらいちゃんと読め!」と叱責するが、大前氏は著書で「新聞は読まない」と公言していたので、きっとBBTの運営者は新聞は読まないことがデファクトスタンダードなのだろうな・・・。

(参考)

2016年6月7日火曜日

株主総会終了後の実務

先日に引き続き商事法務を読んだシリーズ。商事法務№2099(2016年4月25日)には、株主総会終了後の実務について解説が行われていた。執筆者は東京証券代行の芳川雅史氏。気になった部分のみ、まとめてみたい。

商事法務4月25日号(No.2099)

☑取締役の競業取引、利益相反取引の承認
株主総会を経て、競業関係のある関連会社の代表取締役が自社の取締役に就任することは、多々ある(その逆もしかり)。その場合は利益相反取引の承認を取締役会で受ける必要がある。当該規制は100%の親子会社であれば規制は及ばないとされているが、間接保有で100%とか、親会社が同じの兄弟会社とかの場合は、微妙なところなので、その場合は念のため承認決議を経ておくというのは、無難な判断だと思う。

当該決議で注意しなければならないのは、特別利害関係を有する取締役は、決議に加わることはできず、加わらなかった旨は取締役会議事録にも明記する必要がある点だろう。たまに忘れそうになるので注意したい。

☑取締役の報酬の配分決定等
取締役の報酬は株主総会決議で枠取りだけしておいて、実際の支給金額は取締役会で代表取締役に一任としている会社がほとんどだと思うが、昨今のコーポレートガバナンス・コードにおいて、報酬決定プロセスに独立社外取締役の助言を得ることを決定した会社は、その旨を何らかの形で取締役会議事録に記載しておくことが望ましい。昨年の議事録のコピペではダメだということだ。

☑株主総会の質問者の議事録への記載
株主総会議事録には「開催された日時および場所」にはじまり、様々な記載事項が会社法で定められているが、総会で行われた質問についてはどう記載したら良いのかというと、質問者の氏名を記載する必要はなく、質問と回答の要旨を記載する会社が多いとのこと。よって、音声を記録したレコーダーから一語一句丁寧に文字起こし作業をする必要はない。

☑登記関係での改正(予定)
平成28年10月頃に商業登記規則の改正が予定されており、それによると登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合は、一定以上の株主リストを添付することが求められているそうだ。上場企業はこの辺りがどうなるか分からないが(有報提出会社は適用されないかもしれない)、上場していない子会社はこの影響をモロに受けるのは間違いないので、来年の総会には忘れないようにしておきたい。司法書士を使っている会社は大丈夫だと思うが。

その他に関しては、各種セミナー資料であったり、株主総会ハンドブック等を参考にしながら進めれば、株主総会終了後の実務は大丈夫。準備と比べれば格段に易しいのは間違いないが、大抵の担当者は気が抜けて何らかのミスをしがちなので、新任取締役の登記が終了するまでは、気を抜かず、かといって気を張り過ぎず。

株主総会ハンドブック〔第4版〕
  • 作者: 中村直人
  • 出版社/メーカー: 商事法務
  • 発売日: 2016/03/04
  • メディア: 単行本
さて、そろそろリハーサルとか会場の打合せとか最終段階ですな!無事に7月を迎えられるよう、気合を入れて頑張りましょう。

2016年6月6日月曜日

美人の営業スマイルに騙されるな!




「驚いたがな…」



口から思わず漏れた言葉がこれだった。




僕の会社は株主総会の招集通知作成に某法定印刷物専門会社を利用しているのだが、その印刷会社の営業担当者は実に容姿も話し方も可愛らしい女性で、密かに憧れているところがあった。

そして今日、その女性を、偶然会社の玄関で発見してしまったのだ。おそらく、僕とのアポよりも早く到着したため時間をつぶしていたのだと思われるが…



 
 


スパァー  ( ゚Д゚)y─~~

スパァー 
 ( ゚Д゚)y─~~





とタバコを吸いながら





 

ああー!!なにぃー!! ( ゚Д゚)y─┛~~

 


と携帯電話で大声・・・。



こ、これがこいつの本性だったのか ( ̄□ ̄;)!!


普段、営業で見せる顔とのギャップの大きさに度肝を抜かれた。いや、違うか。あれは単なる営業スマイルであって、それをこの人の本性だと思っていた自分が甘かったんだな。

これから営業に来る人間は全員「営業スマイル」なのだと肝に銘じて接するようにしよう。


特に可愛い女性は。




2016年6月4日土曜日

株主総会で想定される質問

やっと株主通信と決議通知が校了して、少し落ち着いてきたので、今さらながら「旬刊商事法務4月15日号(2098号)」を読みました。

主な内容は「今年の株主総会で想定される質問と回答例」。もうほとんどの上場企業は想定問答のまとめの段階に入っていると思いますが、一応本書で執筆者の山田和彦弁護士が紹介していたテーマをざっと紹介します。


旬刊「商事法務」4月15日号(No.2098)

<今年の株主総会で想定される質問>


・取締役会の実効性
・議決権電子化のための環境整備
・招集通知の英訳化

この辺りはコーポレートガバナンス・コード(CGコード)ネタですね。特に取締役会の実効性の評価は、まだ第一生命とか数社しか開示していない状況なので、コンプライするより、エクスプレインの内容を引き続き考え中(作文中)の会社が多いと思いますが、とりあえずその作文案を想定問答にしておけば良いと思います。実務向けセミナーでは「評価方法の方向性くらいは決めておけ」とよく言われているので、株主から質問された際、「まだ0からの検討中です」というのは(それが本当であっても)避けましょう。

議決権電子化とか招集通知英訳化とか、やっていないところは何らかのエクスプレインをしていると思われるので、これもそのまま回答しましょう。しかし、議決権電子化しても、招集通知を英訳化しても、別に株価は上がらないんじゃないでしょうかね。

・独立社外取締役の複数名選任
・業績と連動する報酬の割合等の適切な設定
・指名・報酬等の検討における独立社外取締役の関与・助言
・取締役会の構成・多様性の確保

これらもやっていない会社はCG報告書でエクスプレインしていると思うので、それに従えば問題ないかと。業績連動報酬に関しては、今年の6月総会の上場会社の招集通知を読む限り、ストックオプションを導入している会社の数に驚かされます。CGコードの影響力の大きさを認識する瞬間でもありますが、ストックオプションが株式報酬型の場合は何等かの報酬との相殺になっているわけで、役員にとっては決しておいしい制度ではないと思うのですが、みなさんどう思っているんでしょう。特に、創業80年以上の老舗企業のストックオプションなんかもらっても、旨味は殆どないと思うのですが…。

それと、これとは直接関係ないのですが、割と大手と呼ばれる会社が参考書類に「取締役候補者とした理由」を書いていない事例を散見するんですけれど、これは役員の経歴(略歴)の記載をもってコンプライと考えているのでしょうかね。この辺りの考え方は、7月以降の実務セミナーの解説に期待したいと思います。ちなみに僕は「○○氏は・・・の分野において永年の経験と豊富な実績を有しており・・・」といった感じの金太郎飴のような選任理由を書いたら、ほぼそのまま役員会を通過したので、内心役員は誰でもいいのかなと思っています。

・会計監査人
・監査等委員会設置会社に移行しない会社
会計監査人に関しては、新日本有限責任監査法人を使っている会社で、かつ継続する会社は、監査役会が同意した理由を何か聞かれる可能性は高いです。ただ、さすがに監査役は何かしらの回答を考えていると思いますので、ここは監査役に任せましょう(これくらい仕事してもらわないと)。

監査等委員会設置会社への移行関係は、昨年の株主総会で案外聞かれなかった質問NO1なので、株主総会想定問答集のコピペを準備しておけば問題ないと思います。一般の株主さんは、そんなこと興味ないってことですよ。

・マイナス金利の影響
・消費増税
・マイナンバー制度

マイナス金利は、金融機関ならまだしも、一般的な事業会社は聞かれない質問だと思います。消費増税は最近になって再び延期が決定されたこともあるので、最終消費者をターゲットとしているBtoC企業は特に注意した方が良いでしょう。マイナンバー制対応も個人情報を扱う会社は要注意だと思います。


あと、個人的に毎年思うことは、個人株主からの質問は、9割は発送した「招集ご通知」の中から出て来るということです。穴が開くほど招集通知を読んで、想定問答が完成したら、後は株主総会当日に事務局に入る部門長クラスの人と、議長(社長)の手腕に全てを託しましょう。

別冊商事法務№404 株主総会想定問答集〔平成28年版〕
  • 作者: 河村貢,豊泉貫太郎,河和哲雄,蜂須優二,岡野谷知広
  • 出版社/メーカー: 商事法務
  • 発売日: 2016/02/22
  • メディア: 大型本

2016年6月3日金曜日

田児賢一「それでも僕にはバドミントンしかない」を読んで

Yahoo!ニュースでケン坊こと田児賢一に関する記事を見た。本人からの独白ということで、話題になったカジノ通いに関しても言及しており、まだ読んでいないのであれば、リンク先から読んで頂きたいのだが、個人的に胸が痛いのが、ヤフーのコメント欄やはてなブックマークで寄せられている辛辣なコメントだ。

   

  • やっぱり反省してないみたい
  • スポーツマンとして失格
  • 救いようない人だ
  • これはひどい
  • バカなんだと思う

僕自身、田児賢一に関しては、違法カジノ問題を受けて「もともと人間性に大いに問題があった」とブログに書いたりしていたので、強く言える立場ではないのだが、もうそろそろ彼を叩くのは止めてやって欲しいと願う。

違法カジノにのめり込み、借金まで背負って、会社(NTT東日本)はクビ、しかもマイナーなバドミントンスポーツ選手というお笑いネタにしかならないのは、よくわかる。

しかし、田児賢一は、間違いなく、ここ数年間での世界における日本男子バドミントンの地位を上げた。マイナーなので知らないと思うが、2014年のバドミントンの国別団体戦トマス杯では、男子が初優勝、その最大関門とされた中国戦のトップシングルス対決で、当時世界ランク1位の諶龍(チェン・ロン)を撃破したのは、この田児賢一だ。上記の「告白」では、自分の栄光時代を全日本総合で6連覇した時だと言っているが、そうではない。このトマス杯で諶龍に勝った瞬間が、田児賢一の栄光の瞬間だったのだ日本中のバドミントンファンにとって、どれだけあのトマス杯優勝が嬉しかったことか、誇らしかったことか。

バドミントン・マガジン増刊 トマス杯優勝・ユーバー杯準優勝記念号 2014年 07月号 [雑誌]
  • 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
  • 発売日: 2014/06/23
  • メディア: 雑誌

また、オリンピックメダル候補にまでなった桃田賢斗を成長させたのも田児賢一の存在が大きいのは間違いない(全日本総合で桃田は田児にコテンパンに負けていた)。そのような伝説的、英雄的存在が、一気にスポーツ界における間抜けな悪者とされ、相変わらず叩かれているのを見ると、心が痛む。違法カジノ問題が発覚するまで、田児賢一の存在すら知らなかったような連中から大いにバッシングを受け、会社は解雇、これまでそれ一本でやってきたバドミントン界からは事実上の追放。一方で桃田は謹慎期間が解除された先日から、練習を再開したらしい(NTT東日本をクビにもなっていない)。

もう、田児賢一のバッシングは十分じゃないか。