2010年10月7日木曜日

日本電産と東洋電機製造の買収合戦

2008年9月、かの有名な永守重信社長率いる日本電産が東洋電機製造に対して資本提携という名の買収提案を行った。この事件は注目すべき点があって、その一つが東洋電機製造に買収防衛策が導入されていたということだ。東洋電機製造が導入している防衛策は所謂「事前警告型」と呼ばれるもので、簡単に言うと、買収者が同社の20%を超える株式を買付けた場合(事前警告のルールに従わなければ)、新株予約権が発動されて買収者の保有株式を希釈化してしまうもの。

日本電産もいきなりTOBをかけるようなことはせず、買収価格のプレミアム、資本提携によるシナジー効果、そして何よりこれまでの永守氏が何社も再建してきた経営実績を表に出して清々堂々と買収の意見表明を行った。しかも買収プレミアムは直近平均1ヶ月株価の100.95%!!市場価格の2倍近い価格で入札しようというのだから、永守氏は余程この会社の経営に自信があったのだろう。

昨今の敵対的買収といえば、怪しげな新興企業やどこかの投資ファンドが行うことが多かったが、この買収事件は同業者が行ったこと、そして何より結構有名な日本の経営者である永守氏が行ったということで、僕の中ではどうなるのだろうとワクワクしながら見守っていた事件であった。

結論から言うと、買収は成功しなかった。要因は色々あるだろうが、僕はやはり東洋電機製造の買収防衛策の存在が大きかったと思う。東洋電機は日本電産からの回答書を何度も跳ね付けたり、労働組合に買収反対表明をさせたり、インタビューを行ったり、とことん日本電産に嫌がらせを行って、結果買収を断念させることに成功したのだ。特にインタビューでは永守氏の著書を引用し「貴社では新入社員は1年間トイレ掃除を素手でする習慣があるとのことですが、当社に対しても実践されるおつもりですか」といった質問まで(笑)。

また、こんなやりとりは、これ以上は不毛だ!と日本電産が強行的にTOBに踏み切れなかったのも、やはり買収防衛策が怖かったからだろう。強行的に行えば間違いなく東洋電機の第三者委員会は新株予約権発動の勧告を行うし、その後の差止め裁判で勝てるかどうかはわからない。ブルドックのように株主総会の特別決議まで取られてしまえば、裁判で負ける可能性は高い。負けると企業イメージの大幅ダウンは避けられない…。

もし仮に、買収防衛策が導入されていなかったなら、日本電産がTOBをかけて、その価格が市場価格の2倍の値段ということになれば、東洋電機はあっさり買収されてしまっていたのではないかと思う。

この事件で東洋電機製造の取締役会は外部から保身だ何だと非難轟々だったと思うが、それでも日本電産から会社(自分たち)を守りきったのだ。その1点において買収防衛策は評価されるべきだと思う。

永守氏の考え方は結構面白いし、非常に優秀な経営者だとは思うのだけれど、ただどうしても日本電産では働きたいと思えない…。


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