2008年9月10日水曜日

商事法務№1842

今回は今年の6月末に公表された企業価値研究会の報告書に関する座談会、及び経産省の担当者による解説がメインだった。

この報告書の最大の目玉は、買収者に対する金員等の交付についての解釈。ブルドックソース事件で最高裁が認めた経済的な補償を認める買収防衛策につき、企業価値研究会は「反対」している。ただし、これは最高裁の判例を「否定」しているわけではない。つまり、今回のブルドックソース事件の場合では金員の交付が認められただけであって、裁判所は交付を行わなかった場合の判断はしていない。よって、今回の報告書では「金銭の交付をしなくていい場合の論拠を提示した」ということだ。やや、理屈っぽくて納得いかないのだが、要するにブルドックソース事件のときは、金銭の交付を行わなくても適法だったとでも言いたかったのか。何だかわかったような、わからないような・・・。座談会は次号に続くようなので、期待せずに待ちたい。
続けて書かれてあった経産省の課長による報告書の解説は、報告書の原文を読めば、特筆すべきことは書いてないように思えた。

次に、前号に引き続き「ヘッジファンド・アクティビズムの新潮流」が書かれてあった。
前回紹介されていた、ウルフパック戦術(複数のファンドがグルになっているにもかかわらず、それは大量保有報告書制度等で開示されず、ある日突如として上場会社に一斉に同一要求をする作戦)が、日本でもそれらしき行動が行われているらしい。例としては、原弘産により日本ハウズイングへ買収提案が行われた際、原弘産の取引先の関連会社が日本ハウズイングの株式を買い増ししていたにも関わらず、大量保有報告書において開示を行っていなかった件が挙げられていた。原弘産はファンドではないので、ちょっと趣旨からズレる気もするが、今後似たようなケースは増えることが予測される。


はぁ、これを読んだだけなのに、えらい疲れてしまった・・・。

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