2008年9月8日月曜日

平成20年度買収防衛策

今日は久しぶりに買収防衛策のセミナーに参加してきたので、内容をメモしておく。

買収防衛策の発動判断
防衛策の発動判断機関を原則「株主総会決議」としている会社は昨年31社(構成比8.4%)だったのに対し、今年は160社(28.5%)と大幅に増加している。これは昨年のブルドックソース事件の判決が影響している。

買収者へ金銭を交付する買収防衛策
ブルドックソース事件以降、対抗措置として買収者に金銭を交付することができる防衛策が増加した。しかし、その後の企業年金連合会や企業価値研究会により金銭を交付する対抗策について反対意見が出されたため、今年の3月以降は減少している。

社外取締役の登用状況
防衛策を導入している企業で社外取締役を登用している企業は50%である。ただし、上場企業全体で登用状況は43%なので、防衛策を導入している企業が特に社外取締役を登用しているわけではない。

買収防衛策の導入手続
主な導入手続として「株主総会特別決議(定款変更)+単独決議」と「株主総会普通決議(勧告的決議)」があるが、昨年と比べて前者の導入手続は増加、後者の手続は減少している。ただし、導入手続の割合は今年も「勧告的決議」が全体の50%と多かった。

買収防衛策の非継続・廃止の動向
今年、買収防衛策を非継続・廃止をした会社は18社。そのうち合併、MBO等が要因となった企業が9社、また廃止した半年後に友好的に買収された企業も2社あり、実質的に自主廃止した企業は7社である。廃止の理由としては金融商品取引法の改正により、時間と期間の確保と、質問権等、情報開示の手段が充実したこと等が挙げられている。

企業価値研究会の報告書
今年の6月30日に企業価値研究会から新しい防衛策の「報告書」が公表された。主なポイントは、
1.買収者に対して金銭交付の禁止 
2.株主総会に防衛策発動の判断の丸投げの禁止 
3.(特別委員会を設置していても)最終的な判断責任者は取締役
等である。

また、被買収者の取締役の行動の在り方として、
①買収防衛策の発動要件を株主以外の利害関係者に言及することで幅広く解釈しないこと 
②合理的な範囲を越えて買収提案の検討期間の延長の禁止 
③買収者との交渉を真摯に行うこと 
④株主に対する説明責任を果たすこと 
等が提示されている。

今後の買収防衛策の留意点
現在防衛策を導入している場合、原則としてプランの見直しは不要と考えられる。ただし、導入した防衛策を容易に「廃止」はするべきではない。金融商品取引法の改正により買収に関するルールが整備されてきているが、これは主に公開買付に対するルールであり、市場内で買い増していく買収に対しては強い制限は整備されていない。

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