2016年1月18日月曜日

「知る前契約・計画」制度について

昨年末、日本取引所(JPX)がやたらとインサイダー取引規制の適用除外範囲の拡大に関するセミナーを開催していたが、これは、そのセミナーに参加してきたときのメモを理解測定のためにまとめなおしたものである。

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平成27年9月、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令の一部が改正され、「知る前契約・計画」制度が追加された。従来、上場会社の役職員は、立場によっては常に何等かのインサイダー情報を入手できるため、自社株売買ができない、という問題が生じていた。そこで、インサイダー情報を知る前に売買が決定されていたことが客観的に明らかになっていれば、その後でインサイダー情報を知ったとしても売買を認めて良い、という制度ができた。これが「知る前契約・計画」制度である。この制度を活用すれば、仮に重要事実の公表前日に株式の売買が行われたとしても、インサイダー規制を免れることができることとなる。

<制度のポイント>
大きく分けて、以下2点のポイントを満たせば、インサイダー情報を知っていても、計画通り売買の実行可能となる。

・売買の期日・数量の計画を決定する
計画・契約において、売買期日、数量又は総額が特定されている必要がある。裁量的に売買を行うことは認められない。1日を超える期間や期限を定めているだけでは足りず、裁量の余地なく決まる必要がある。例えば、2016年5月16日~5月31日までのいつか、というのは、不可であるが、2016年4月1日以降、株価終値が初めて1000円を超えた日の翌営業日、というのは可能である。

・「知る前」に作成した計画・契約を証券会社に提出する
個人による「知る前計画」の決定にあたっては書面を作成し、証券会社に提出する必要があるが、この対応は全ての証券会社が対応可能というわけではない。従って、対応可能な証券会社に口座を開設した上で、売買手続きを行う必要がある。

<持株会における利用>
持株会への入会や買付け口数の変更等において、同様に「知る前契約・計画」制度が利用可能となるので、本制度を活用することが考えられる。


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本制度は、上場会社の役職員の自社株売買を活性化させたい政府の意向を受けて導入された制度の一つであるが、まだ実務面で対応が確立されていない(特に証券会社で)という話も聞くので、早々に規程を変更することや、制度の概要の社内周知を行う必要はないと思われる。株懇から何か出て来るまで待とうというのが私のスタンスである(笑)

当面は、従来通り「株式等売買事前届出書」を無届で自社株売買するリスクの周知や、持株会入会の際に売却には制約がかかる(自由に売却できるわけではない)主旨の事前説明に重点を置こうと思う。


<関連エントリー>
インサイダーと適時開示(2014年12月24日)
インサイダー取引防止規程の改訂(2014年4月2日)
<参考>
「知る前契約」に関するインサイダー見直し案(大和総研)



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