2008年12月17日水曜日

商事法務№1848

11月15日号。やっと1ヶ月前までやってきた。1日1冊と決めていたが、予想外の仕事と難解さのせいで、2日かかってしまった。それにしても、商事法務ばかり読んでいるとストレスが溜まる。

まず、今号の目玉は某大手法律事務所のパートナー弁護士によるレックス・ホールディングス事件の東京高裁決定の検討だ。

僕はこのMBOは無茶苦茶だと思っていたので、レックスにはいつか罰が下ると思っていた。よって、東京高裁の判決は納得していたのだが、プロから見たらそうでもないらしい。

公正な価格について→上場会社の株価は将来の業績予想も含めて形成されているので、裁判所のいう「今後の株価の上昇に対する期待を評価した価額」を加えてしまうと、2重カウントになるじゃないですか。

対抗買収提案がなかったことについて→日本でもMBOの最中に対抗TOBが掛けられた事例はありますよ。

株式の価値の客観的評価の算定期間→直近1ヶ月ではなく6ヶ月にしてしまう方が、過去の情報の要素が強くなってしまうじゃないですか。

・・・といったことが書かれていた。ただ、このレックス事件を受けて、もし再びレックスが上場をした際、果たしてこの会社の株式を買いたいと思う投資家がいるだろうか。少なくとも僕は思わない。


次になかなか面白かったのは、最後に書かれてあるスクランブルの「友好的」な敵対的買収提案の内容。

スクウェア・エニックスがテクモへのTOB発表した際、TOB開始の条件を「テクモの取締役会の賛同」としていた。この事件は一見すると「取締役会が拒否すればいいだけじゃないか」と簡単に解決ができそう思えるが、そうではない。テクモ取締役会がスクウェア側のTOBを拒否するなら、その根拠を株主が納得する形で示さねばならないのだ。特にTOB価格が高かった場合は、曖昧な株主の納得できない回答でTOBを拒否しようものなら、取締役会は株主代表訴訟を起こされる可能性もある。

結局この事件は、テクモが拒否して他社との提携の道を探したところで終了してしまったようだが、スクウェア・エニックスの行った「友好的」敵対的買収もなかなか面白いと思った。

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