2008年10月8日水曜日

会社法の復習2

前回の続き。

・近年の株主総会の傾向
昔と比べて最も変化した点は「議案が否決される可能性」が出てきたこと(参考)。ISSや海外ファンドの存在が大きい。これからは、議案が否決されることも想定しなければならない。

・企業再編行為
企業再編行為の主たる目的は「企業競争力の強化に役立つ法制度を目指す」こと。企業再編行為が利用される場面は大きく分けて2つに分類される。
①他企業との経営統合による競争力強化
②自社グループ内での事業の整理、統合
なお、企業再編行為は経営陣の同意を得て行う企業買収の手段としても利用は可能。

・吸収合併と新設合併

合併の際、実務上は新設合併では会社の持つ免許や上場の手続きがややこしくなるため、吸収合併の方が圧倒的に多い。なお、一般的に使用される「対等合併」という言葉は法律用語ではない。

・吸収分割と新設分割

旧商法では「営業」が分割の対象とされ、その概念についての議論があったが、会社法では分割の対象について「その事業に関して有する権利義務の全部または一部」となり、より柔軟になった。なお、新設分割は1社のみで1事業部門を分離して実施することも可能。

・株式交換と株式移転

株式交換はその「主体」に注意する必要がある。
会社法2条31号 株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させること。
つまり、上記の図ではB社の子会社となるA社が株式交換の主体となる。また、株式移転は純粋持株会社(ホールディングカンパニー)化するための一つの手段となる。

・企業再編行為の効力発生日
吸収型か新設型かによって効力発生日は異なる。
吸収型再編行為(吸収合併、吸収分割、株式交換)→当事会社間の合意(再編行為に関する契約)により定めた日
新設型再編行為(新設合併、新設分割、株式移転)→新設会社の登記の日

・対価の柔軟化
会社法においては、吸収型再編行為の場合、再編行為の対価は株式のみならず、社債、新株予約権、金銭その他財産でもよいこととなった。つまり、何を対価とすることが適切なのか判断しなければならない。

・対価の柔軟化と外資による敵対的買収
対価の柔軟化が外資による敵対的買収を増やすという議論がなされているが、企業再編行為を行うためには、当該再編行為に関する契約をしなければならず、TOBのように突然株を取得される買収とは性質が異なる。
会社法767条 株式会社は、株式交換をすることができる。この場合においては、当該株式会社の発行済株式の全部を取得する会社との間で、株式交換契約を締結しなければならない。

・企業再編行為に係る留意点
企業再編行為は実にバリエーションが多く、一体どれが適しているのか正しく判断する必要がある(つまり、弁護士に相談するにしても最低限は知っておく必要がある)。独占禁止法や税務、会計など会社法以外の分野にも注意する。

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