2015年11月5日木曜日

神田秀樹教授の「会社法入門(新版)」を読んだが・・・



そろそろ2015年に施行された「改正会社法」の本を1冊くらい読まなければ、と大型書店に足を運んだところ、目立つ位置に飾られていたのが、この神田秀樹先生の「会社法入門 (新版)」であった。かつて2005年に新会社法が施行された際に出版された「会社法入門」の改正版とのこと。会社法の一人者である神田先生(東京大学法学部教授)の解説がたったの1000円以下で買える、そう思って、迷うことなく本書を手に取って、早速読んでみたのだが・・・・・


むずかしいぜ!!


東京大学教授の書いた本で難しくない本はこれまで読んだことがないが、本書もその意味では期待を裏切らなかった。とは言え、少なくともこの本は新書の「入門書」である。更に、僕はこの会社法分野は何だかんだいって勉強してきた蓄積があり、セミナーや講演会も多々参加しているわけで、それなりに知識はあるはずなのに、本書は理解が難しいと感じた。

なぜだろうか。

まず、これは入門書の宿命なのかもしれないが、浅く広く取り上げるため、どうしても個々の説明が淡泊になることだ。もともと会社法は理解が平易ではない法律分野なので、表面だけなぞられて説明されると余計に理解が難しい。そこに最近のトピックスであるコーポレートガバナンス・コードなどを突っ込んでおり、それらが更に頭の中で整理することを難しくしているような印象を受けた。また、おそらく理解を助けるために挿入されたであろう図表も、正直なところ役に立っているようには思えない。既に(自分では)理解しているであろう多重代表訴訟等の分野ですら、何を書いているのか分からない部分があった。

割と会社法を真面目に勉強している同業者(京都大学卒)にも確認してみたが、彼も「難しい」と言っていたので、僕の感想は大半の読者が感じるのではないかと思われる。集中するためにカフェに籠って、とりあえず読了したが、もう1回読もうという気にはなれなかった。

従って、本書は手っ取り早く平成26年改正会社法を理解したい人や、少なくとも初学者には絶対にお勧めできない1冊である。ある程度会社法を勉強した人が、理解度をチェックするために挑戦してみるのは良いかもしれない。本書をスラスラ読めるようであれば、改正会社法の理解はかなり進んでいると言ってよいだろう。

なお、アマゾンの書評を調べてみると、改正会社法の入門書は以下の2冊がお勧めなようだ。今度書店に足を運んだ際は、手に取って見てみよう。


ビジュアル 図でわかる会社(柴田和史)
初心者でもわかる!LawLゆいの会社法入門(小林章博)


特に、この「LawLゆいの会社法入門」の方は、いかにもな表紙である(下の画像参照)。少し楽しみ。


初心者でもわかる!LawLゆいの会社法入門【会社法!? 任せてください! 新人法務部員ゆいがナビゲート】


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