2013年12月10日火曜日

会社法改正案の内容

平成25年11月29日、閣議決定を経て国会に提出された会社法改正案の解説セミナーを受けてきた。以下、理解できた範囲でメモ。


会社法改正案のスケジュールはどうなってんの?
平成25年11月29日、会社法改正案が閣議決定を経て国会に提出された。法案の成立は平成26年5月の通常国会、施行は平成27年4月1日と予想されている。


「要綱」からの主な変更点は?
平成24年に公開された「会社法制の見直しに関する要綱」からいくつかの点で変更が行われた。監査・監督委員会設置会社は「監査等委員会設置会社」へ名称変更し、監査・監督委員は「監査等委員」へ。また従来の委員会設置会社も「指名委員会等設置会社」と名称変更することとなった。
社外取締役に関しては、改正法施行後2年を経過した段階で、選任義務付けを行うかについて再検討する旨の附則を新設することとなった。東証コーポレート・ガバナンス白書2013によると現時点で社外取締役が存在する上場会社は54.7%であり、今後2年間でこの数字がどれくらい伸びるかで設置の義務付け有無が決まりそうだ。
なお、金融商品取引法違反者による議決権行使の差止請求は削除された。これは、法文化するのであれば会社法ではなく、金商法で対応すべきとの考えによるもの。


監査等委員会設置会社って何?
新設となる「監査等委員会設置会社」には監査役会に代わり、過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が必要となる。この監査等委員会の選解任等の手続は監査役会設置会社の監査役とほぼ同じで、権限は委員会設置会社の監査委員会に近い。
株主総会での決議では、監査等委員の取締役とそれ以外の取締役と区別され、両者の改選時期が同じになった場合、取締役選任議案が2つできることとなる。監査等委員の任期は2年で、監査等委員以外の取締役の任期は強制的に1年となる。
社外取締役を選任していない会社は、後述の「社外取締役を置くことが相当でない理由」の開示を避けるために、監査等委員会設置会社に移行し、現在の監査役・社外監査役を監査等委員に変更することも考えられるが、監査等委員会は「過半数」が社外取締役であることが求められる点には注意が必要だ。現在の監査役会が監査役2名、社外監査役2名で構成されている会社は、人員の整備(社内監査役を一人退任させることになると思う)を行う必要がある。つまり、全ての社外取締役を設置していない上場会社が、今の監査役会をそのまま監査等委員会にスライドできるわけではない点に留意すべし。


「社外取締役を置いてない場合の理由」って何を開示したらいいの?
社外取締役を置いていない場合の理由の開示に関する条文が新設され、事業年度の末日において社外取締役を置いていない場合、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないこととなった。この部分に関しては、いわゆる経過措置が取られる見込みはなく、よって平成27年4月1日から施行、適応が求められることとなる。平成27年6月に株主総会を行う会社の場合、事業年度末日は平成27年3月31日であり、この日に社外取締役不在状態を避けたい(=相当でない理由の説明をしたくない)のであれば、平成26年6月の株主総会、つまり次の株主総会で社外取締役を選任する必要がある。社外取締役の人選には時間を要するため、社外取締役不在の上場会社は、そろそろ検討を進めるべきであろう。
なお、この「相当でない理由」は個々の会社の各事業年度における事業に応じて記載しなければならないこと(ひな形対応不可)、社外監査役が2名以上あることをのみをもって「相当でない理由」とすることはできないことが追加で定められた。


親子会社で社外監査役兼務しているグループ会社が注意すべきことは?
社外監査役は親会社の関係者不可になるため、子会社の社外監査役に親会社関係者(社外監査役含む)を選任している会社は役員構成の見直しの検討が必要となる。特に非上場子会社の場合は、監査役会がその会社に必要なのか会社の機関設計の見直しも行うべきである(株式に譲渡制限を付ければ監査役会の設置は不要=社外監査役の設置は不要)。


株式買取請求に変更点は?
組織再編等に起因する株式買取請求をしようとする株主は、会社が開設した口座(買取口座)を振替口座とする振替の申請を求められることとなった。これにより、買取請求権行使後の株主による買取対象株式の転売が防止されることとなった。
会社は買取口座を開設した際は株主に対して公告を行う必要がある。


反対株主の株式買取価格決定前の支払い制度とは?
買取請求の価格に関して、株主が考える公正価格と会社が考える公正価格に乖離がある場合、裁判所による公正価格が決定される前に、会社が考える公正価格を支払うことが可能となった。これにより、前払分の年6分の利息発生を防ぐことが可能となった(年6分の利息が会社と裁判所の公正価格の差額にのみかかる)。
従来も前払いは可能であったものの、株主の同意が必要であったが、これからは不要となった。


<参考>
会社法の一部を改正する法律案(法務省)
会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(法務省)
会社法改正法案の国会提出(大和総研)

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