2013年11月7日木曜日

コンプライアンスを巡る最近のトピックス

某著名弁護士の講演会に参加してきた。やはり、場馴れしているのか、かなり聴きやすい解説で、僕のような無知なる人間の頭にもスッと内容が入ってきた。さすが商事法務に顔が出てくるような弁護士は違うなと思った。以下、気になった内容をメモ。


◆インサイダー規制は来年どう変わるのか。

インサイダー取引規制違反(課徴金勧告)件数は、平成17年の制度導入以降、平成25年6月末までに144件。当初は会社関係者及び公開買付者等関係者(以下「関係者」)による違反が多かったが、平成21年以降は、関係者から情報を受け取った第一次情報受領者による違反件数が、関係者が行った件数を上回る状態が続いている。
来年予定されている金融商品取引法の改正では、この第一情報受領者に情報を伝達した関係者にも刑事罰や課徴金が科せられる(情報受領者が売買等を行った場合)ことが予定されていることもあり、インサイダー取引の未然防止に向けた発行会社の一層の取り組みが求められている。具体的には、情報管理の徹底や、重要事実の公表・開示の迅速化、インサイダー情報に関わる社外関係者との守秘義務契約の締結や、経緯書の内容の充実等の検討を行う必要がある。


◆不公正ファイナンスとは具体的にどういったスキームなのか。

不公正ファイナンスとは、第三者割当増資や新株予約権の割当等発行市場でのファイナンスを悪用した流通市場での不公正取引のことであり、不特定多数の者の権利・財産を毀損させ、市場や株主・投資家を騙す(欺く)行為のことである。
具体的な事例としては、資金繰りの悪化した上場企業が、第三者割当増資により資金調達がなされたように見せかけ(株式割当は行うものの、資金が会社に入らない)、その間に第三者割当先が引き受けた株式を市場で売却し、既存の株主や、その情報を信じて株式を購入した投資家に多大な損失を与えるといった問題である。中には現物出資(土地・建物)の第三者割当増資に関して、不動産鑑定士が出資不動産の価額を不当に高く評価し、健全性を装うケースもあった(当該不動産鑑定士は行政処分を受けた)。こういった不公正ファイナンスで市場から巻き上げられたお金は、反社会的勢力へと流れていると推測されている。
なお、不公正ファイナンス行為には金商法上の「偽計罪」が適用される。


◆最近よく聞く「リニエンシー(leniency)制度」とは?

企業のグローバル化に伴い、国際的に最も厳しい規範、規律に適合していく必要が出てきた。中でも脅威は米国の独占禁止法によるカルテルの摘発で、罰金額の高額化、違反行為者(個人)に対する禁固刑期間の長期化に加え、最初にカルテルの事実を申告した業者のみが損害外賠償及び刑事罰を免れることのできる「リニエンシー制度」が業者間の摘発を促している。ある製品でのリニエンシー順位が一番でなかったとしても、それ以外の製品分野で新たにリニエンシー申請すれば、リニエンシーが認められなかった事案で軽減措置が図られる「リニエンシー・プラス」といった制度まで存在し、米国では猛威をふるっている。ちなみに、leniencyとは[寛大さ、慈悲深い」といった意味。
特に日本の場合は、カルテル・談合に対する認識が特殊(村社会の倫理等)だが、国際的には「即違法」あることを意識しなければならない。


◆ローソンのバイト社員が冷蔵庫に入った写真をネットで見たが、これらの企業から見た問題点は?

今年は、ソーシャルメディア(FacebookやTwitter等)を通じての従業員、アルバイト社員の発言等がネットで「炎上する」といった事態が多発している(冷蔵庫に入るアルバイト社員等)。こうしたソーシャルメディアは、発言者・発信者が特定されやすいこと(匿名のつもりであっても、些細な情報から本人の勤務先を特定する人がいる)、伝播が極めて早いこと、受け取り方によって誰かには叩かれる可能性があること、などの問題があることに加え、個人利用の形態が多種多様であるため会社が管理しづらいという難点がある。
被害を防止するため、社員にソーシャルメディアの危険性を伝える研修等を行う必要がある(特に若い世代が使うツールであるため、新入社員研修に)。


<参考>
不公正ファイナンスの特徴(日本不動産鑑定士協会連合会HP)

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