2016年2月8日月曜日

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代

著者 : アダム・グラント  監修 : 楠木 建 
三笠書房
発売日 : 2014-01-10


友人から勧められて「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」を読んだ。

ギブ&テイク、良く使われる言葉であるが、本書の主張は一貫していて「情けは人のためならず」である。そもそもこの言葉を「同情するなら金をくれ」みたいなニュアンスでとらえている人がいるが、そうではなくて「情けは人の為だけではなく、いずれ巡り巡って自分に恩恵が返ってくるのだから、誰にでも親切にせよ」(ウィキペディアより)という意味である。 もちろん、本書は本来の「情けは人のためならず」の意味で書かれた本。

著者であるアダム・グラント氏は、執筆時29歳、ペンシルベニア大学ウォートン校教授で、同大学史上最年少の終身教授だ。グラント氏によると、人は3つに分類される。

・ギバーGiver:他人中心。相手の利益を考え、惜しみなく与えようとする。
・テイカーTaker:自分中心。真っ先に自分の利益を優先させる。
・マッチャーMachter:損得のバランス、ギブ・アンド・テイクを重視する。

この中で、最もビジネスで成功するのはどのタイプなのかというと、それは意外にもギバーである。なぜかと言うと、世の中の大半の人は「やってもらった分だけお返しする」マッチャーであるため、ギバーは先に与えた分、直接的・即効性はなくとも、何からの形でお返しが期待できるからだ。逆にテイカーは最初は良いかもしれないが、大半のマッチャーはその分を何らかの形で「お返し」しようとするので、長い目でみると損するというわけである。特に今の世の中はSNSなどの影響が強く、その人の評判が瞬時に拡散されるという特性があり、ギバーが成功しやすい時代であると言える・・・と僕は理解した。

「全米バスケットボール協会(NBA)」のスカウトマン、スチュ・インマン氏と伝説のバスケットボールプレイヤー、マイケルジョーダン氏との比較を始め、興味深いエピソードが数多く解説されており、読んでいて飽きることはない。自分がギバー、テイカー、マッチャーのどれなのか考えながら読むと、より一層楽しめるのではないだろうか。

ちなみに、僕はというと、幼少の頃から極めてマッチャーな人間である。しかし、これまでの僕の人生で出会った友人の中で、多くの人に好かれながらも成功を収めているのは、ギバー特性を持った人であるのは間違いがない(というか、この偏屈な僕と友人付き合いを続けてくれている時点でギバーなのだが・・・)。 少しでも「与える人」でありたい、本書を読み終えてそう思ったわけだが、その後、アマゾンに書かれてあった以下のレビューに「はっ」とさせられた。

“例えば、「ギバーとして振る舞うと得があるのかー」と捉えるのも1つだが、そもそもその思考自体がテイカーそのものだ。”


実に的を射ていると思った。 いずれにせよ、困った人を助けることができるギバーになるには、与えることができるだけの実力が必要となってくる。無力な人は、与えることなどできないのだ。もっと自己研鑽が必要だな。

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