2010年3月14日日曜日

株主・会社債権者からの開示請求

会社法の定める株主・会社債権者からの開示請求制度の中で、実務で多く見られる計算書類等、会計帳簿等、株主名簿の閲覧謄写請求について少しまとめたのでメモ。

■計算書類等の閲覧・謄本請求権
計算書類等とは計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)と事業報告、附属明細書、臨時計算書のことであるが、これらの閲覧請求の対象となる時間的範囲はいつまでか。1年限りなのか過去に何年も遡って閲覧に応える必要があるか。この点、会社法442条によると保存期間が「5年」と定められているため、5年分までということになる。但し、株主総会議事録の閲覧は10年間保存が義務付けられており(会社法318条)、株主総会議事録に添付されている計算書類等は(株主総会議事録の閲覧請求があった場合)当然提出しなければならない。
閲覧請求のできる債権者は金銭債権を有する者に限らず、不作為債権等、条文上はどの債権者も可能。また代理人・補助者による請求も禁じる規定があるわけではないので可能である。

■会計帳簿等の閲覧謄写請求
会計帳簿等の開示範囲については広義に解釈するもの(=非限定説)と狭く解釈するもの(=限定説)の論争があるが、旧商法時代の判例によると限定説が有力であり、会社法の下でも旧商法から条文の文言がほとんど変っていないことから限定説が有力であると思われる。
定款で閲覧等の拒否事由を定めることはできない。これは会社法433条2項に「株式会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない」と規定されているからである。
株主が閲覧謄写請求訴訟を起こした後に訴訟条件である株式の保有100分の3を下回った場合、当該株主の原告適格はどうなるのか。この場合は2つのパターンが考えられ、株式を売却した場合は原告適格は失われる。しかし会社が増資等を行い、当該株主の株式保有割合の希釈化が行われた場合は原告適格は失われない、というのが通説である。但し、後者の場合も会社の増資等が正当な理由であれば問題ないという説も存在する。

■株主名簿閲覧謄写請求
株式会社は株主名簿を作成し、本店に備え置く義務がある。但し、株主名簿管理人がある場合は、その営業所に備え置くことになる。(会社法125条1項)
計算書類等とは異なり、謄本抄本の請求ではなく謄写の請求が行われる。謄本抄本の請求に会社がサービスで応えてしまった場合は、株主平等の原則(会社法109条1項)に反することとなる可能性があるので注意が必要。
株主総会に出席する株主のように、株主名簿閲覧謄写請求の代理人を株主に限定する定款を定めることはできない。株主総会の出席には総会屋問題があるが、株主名簿閲覧請求にはその恐れがないからである。

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