少し気が早いが来年の株主総会へ向けて予習をしておきたい。
平成21年4月1日に新しい会社法施行規則が施行され、3月末決算の会社の場合は来年の株主総会からこれが適応されることとなった。主な改正点(事業報告・参考書類)は下記の通り。
[事業報告]
・会社の支配に関する基本方針につき、その「概要」の記載で足りることが明確化された。
・会社役員の兼職等の状況に関する開示につき、他の法人等の代表者を兼任していることについて開示を求める施行規則を削除し、「重要な兼職」に含まれる場合にのみ兼職状況を開示することとなった。
・株式に関する事項につき、開示する株主が「発行済株式総数(自己株式を除く)に占める割合の上位10名の株主」となり、持株比率の開示が追加された。
[参考書類]
・取締役が提案する議案の記載事項につき、「提案の理由」が定められた。
・取締役、監査役の選任議案における「重要な兼職」の記載につき、各候補者が役員に就任したと仮定した場合に重要な兼職となる事実があれば、その事実を記載することになる。また、就任時または就任後まもなく当該「兼職」から離れることが明らかな場合は、当該「兼職」は「重要な」ものではないとなる。
その他、今年の株主総会の事例等については以下の通り。
[株主提案権の行使と受付票]
株主提案権の行使に際し個別株主通知の受付票が添付されていなかったことを理由に、株主提案を付議しなかった会社があった。
しかし、全株懇の株式取扱規程モデルでは、株主提案権の行使に際し受付票の添付は要しないと改正されているため、受付票の有無による対応には注意が必要となる。
[議決権行使結果の開示]
金融庁のスタディーグループ報告や東証・上場制度整備懇談会等で、議決権行使の結果につき「開示することが望ましい」という意見がまとまってきており、今後は開示が必要となるであろう。
[株式の持合状況の開示]
金融庁は金融商品取引法を改正し、上場企業間の株式持合い状況の開示を義務付けるように考えており、正式に決定すれば有価証券報告書と四半期報告書の中で開示することとなる。これは当然、事業報告の記載内容にも影響があると予測される。
[内部統制システムと反社会的勢力への対応記載]
内部統制システムの概要の中に「反社会的勢力への対応」等についての記載している会社が増加している。とある調査では、上場企業では47.3%の企業に記載があった。
[退職慰労金打ち切り支給について]
退職慰労金支給制度は、既に上場企業の半数以上が廃止しているが、近年では廃止する会社数は減少してきている。