2019年8月5日月曜日

株主から電話でよく受ける質問

よく株主と名乗る方からIRに関する質問の電話を受けるのですが、よくある質問をまとめてみました。これから上場企業のIR担当者に電話してみようかな、という個人株主・個人投資家(笑)の方がおられたら、参考にしてみて下さい。


・キミの名前を教えて欲しい

 「おい、キミは誰だ。名前は?」と、最初に名前を確認してくる株主が一定数いますが、いきなり名前を聞いてきた株主からまともな質問があったことがありません。おそらく後で「○○という社員が言った」と裏取りをしたいのでしょうが、名前を聞かれた瞬間、電話対応の人間には「面倒な奴から電話がかかってきた」というアラートが鳴ります。中には役職まで確認してきて、管理職ではないと分かると、「部長と変われ」と言う株主までいます。

・なぜ株価が下がっているのか(上がっているのか)

何らかのプレスリリースや決算を開示した後であれば、そのリリースの内容を答えることができますが、大半の場合、会社のIR部門の人間であっても、自社の株価の上昇・下落の理由は不明であることばかりです。「株価は市場が決めることであり、コメントすることはできない」としか答えようがありません。「○○という記事が新聞で出ているだろうが!」と怒鳴られる方もいますが、知っているなら電話してくるなよ、と思いますね。

・株主総会では土産は出るのか(出たのか)

株主総会前後の6月には、必ずかかってくる電話が「お土産」に関する問い合わせです。お土産が出るから株主総会に行こう、という発想はまだ分かりますが、「俺は、地方に住んでいるから総会に参加できない。だから土産を自宅まで送れ」という電話には困ります。そういう対応はしていないと断ると、必ず言われるのが「株主平等原則に違反しているだろ!」というお叱りの言葉です。そもそも、株主総会のお土産は株主平等で出しているわけではない旨の説明をするしかないのですが、一度だけ「裁判で訴えてやろうか」と言われたことがあります。たかが1000円前後のお土産のために、裁判まで起こすとか、本当に株主と言うのは・・・。

・個人的な見解を聞きたい

「会社公表の業績見通しは弱気だと思うんだが、キミ一個人としての意見を教えてくれないか」と、担当者個人の意見を聞いてくる人もいます。常識的なことですが、個人的な意見であっても会社の電話を通じてIR担当者が話せば会社の見解となるので、個人の考えなど答えることはできませんし、答えるとしても会社と同じ見解しか答えられません。「どう考えても今の株価は割高でしょ、売った方がいいですよ」と思っていても、言えません。所詮、我々も雇われたサラリーマン、使用人なのです。

・今の株価はいくらだ

おい、株価はいくらだ」と電話の第一声で聞いてくる株主も多いですが、これに即答できなかった場合、激怒する人がほとんどです。「キミは会社の株価も把握していないのか、会社員失格だ!」と電話受付の女の子にキレる人もいます。誰もがリアルタイムで自社の株価など把握しているわけでもなく、こちらは各々の仕事をしているのです。上場会社のオフィスはディーラーのトレーディングルームのように、株価が映し出されているとでも思っているのでしょうか。

・自社株買いはいつするのか

開示しているリリースがなければ「今のところ予定していない」としか回答できません。常識的に考えて下さい。

・2chや掲示板の書き込みについて

「ヤフー掲示板に○○と書いてあったが、本当か」と。


知らんわ、そんなもん!



日刊紙の記事ならまだしも、朝から2chをチェックするほど我々は暇人ではないのです。

・社長を出せ

こちらの記事をご覧ください。




何と言いますか、株主の権利には、自益権(剰余金の配当を受ける権利、等)と共益権(株主総会議決権、等)しかないはずで、「株主総会会場が分からないから○○駅まで迎えに来い」とか(今年言われた)、その他の事例も含め「大いなる勘違い」をしてしまっている人が多いと思うんですよね。モンスタークレーマー(客)、モンスターペアレンツ(親)に続くモンスターシェアホルダー(株主)が大量に発生しているような気がします。

「株主との対話」が最近のテーマですが、対話すべき株主とは、誰のことなんでしょうか。

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