2016年8月30日火曜日

ブックオフが苦戦している理由

東洋経済オンラインの「ブックオフ、止まらぬ「中古本離れ」でピンチ」という記事を読んだ。本記事によると、古本の不振は買取の減少が原因らしいが、僕の感覚では違う。そもそも欲しいと思うような本が、ブックオフには置いていないのだ。



昔からビジネス系や社会科学系の本をBOOK OFFで買うことが多いのだが(漫画やゲームは買いません)、ここ最近、ブックオフに行っても、昔と比べて買いたい本がなくなったような感じがするのである。事実、お店まで足を運んでも、結局何も買わずに店を出ることがほとんどになった。

なぜか。

まず、100円・200円コーナーに置いてある本は古すぎて読む価値がほとんどない。一般のコーナー(定価の半額くらい)に置いてある本も、古い本が多くて、調べてみるとAmazonのマーケットプライスで買った方が送料込でも安いという状態になっている。その結果、中古本を買うのであれば、ブックオフに行くのではなく、最初からアマゾンで買った方が安くて便利だという判断になってしまうのだ。わざわざ店舗に出向く客は、漫画の立ち読みだけが目的の連中だろう。

以前は、もっと魅力的な本が100円コーナーにも置いてあったのに、なぜこうも欲しくない本ばかりになったのか。僕の仮説は以下の通りだ。

1.個人のせどりが増えた

前述のAmazonマーケットプライスの出現により、本の中古市場の価格相場が個人でもわかるようになってしまった。手間はかかるが、携帯を片手に調べればミスプライズされた本を発見することは容易だ。実際、ブックオフ店内でスマホを片手にせどりをやっている人を見かけることは良くある。

こうして、マーケットプレイスで値段の付く(=人気のある)本は、個人のせどり業者によって買占められ、BOOKOFFの店内には100円以下の価値の本だけが残るようになった。

2.個人がネットで簡単に売ることができるようになった

これもAmazonマーケットプライスのことだが、こうした中古本市場の新しいプラットフォームの出現により、少し手間をかければ個人でも簡単にインターネットを通じて本を売ることができるようになった。Amazonマーケットプレイスであれば、たとえ出品金額は1円であっても、送料を含めれば100円程度の利益は出るため、ブックオフで1冊、5円とか10円で買いたたかれることに比べれば、遥かに手元にお金が残ることとなる。よって、個人の古本がブックオフを介さず、直接売買されるようになり、ブックオフに出回る本の数そのものが減った。一方で、個人同士で売買が成り立たないような不人気の本だけがブックオフ等に出てくるようになった。

3.ネットの買い取り業者の出現

インターネットを通じて、送料無料で本を買い取る業者が出てきたことにより、わざわざ遠く離れたブックオフまで売りに行く手間が不要になった。更に最近の業者は段ボールまで無料で手配してくれるので、ヤマト等の集荷サービスを利用すれば家から一歩も出ることなく、売却することが可能となっている。こういうネット買取というのは、ブックオフ以上に買いたたかれることが常だが、大半の一般人は引っ越し準備等で出てきた大量の本を、いくらでもいいから手っ取り早く処分したいと考えているので、こうしたサービスの方が需要は高いのだと思われる。

4.いわゆる「自炊」

本の最終処分を古本としてではなく、裁断してスキャナで読み取り、PDF化して保存するという「自炊」も、最近のスマホやタブレットの流行により一定の層からは支持されているようだ。こうなると、本は完全に紙のゴミとなるため、中古本市場そのものに本が出回らない。

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以上の4点が僕の考えたブックオフからいい本が消えた理由=ブックオフが苦戦している理由である。上記4点には含まなかったが、キンドル(kindle)による電子書籍の普及の影響も大きいだろう。つまるところ、半分はアマゾンが悪いという結論だ。

なお、運営元であるブックオフコーポレーションの株価(証券コード3313)を調べてみると、2005年ごろがピークで、ここ数年は上場時以下だ。業績も純利益は2007年ごろをピークに横ばいが続いている。やはり、今後はアマゾンと電子書籍の時代なのかもしれない。


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