今日は『
森鴎外の智恵袋』を読んだ。本書は、一言で言うと、かなり前にベストセラーになった樋口裕一先生の「
頭がいい人、悪い人の話し方」の明治時代版のようなもので、森鷗外の人生を通じた教訓、処方術が詰め込まれている。
森鴎外と言えば、高校の授業で代表作品である「舞姫」を読んだことから文豪という認識くらいしかなかったが、こういった処世術の本も書いていたというのは意外だった。
古い本なので若干読みにくい部分もあるが、中身はとても深い。「
泣き言を人に漏らすな」とか「
嘘をつくな」とか、時代は違えども、人間の真理には違いがないのだと改めて認識させられた。僕としては、前半部分の方が参考になる所が多かったように思えた。色々納得させられる点はあったのだが、一つ挙げるとすれば十八「後言」の一文だ。
人の居ないところでその人の欠点とか弱点とかを話題にするものではない。
(中略)
汝が口にする他人の蔭口ゆえに真先に汝を捨てて離れてゆくのは、汝の交友のうちで一番情誼に厚い人物であろう。
肝に銘じたい教訓である。
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