2008年2月7日木曜日

「剰余金の配当にかかる実務対応」(株式懇談会)

今日は株式懇談会の「剰余金の配当にかかる実務対応」を読んだ。(市販されていません)

剰余金の配当に関する内容だけに絞った全75頁。読み応えがありすぎて、眠くて仕方なかったが、何とか読破。読んだことを忘れないように以下にメモ。

・連結配当規制
連結配当規制とは「親会社が黒字でも、子会社と連結したら赤字になるようになる場合には、親会社は配当することができない」制度。この制度の採用は任意で、事業年度ごとに適宜選択することも可能である。しかし、連結ベースで多額の損失が出た場合のみ適応しないとすると、株主や債権者との間で問題が発生することも考えられるので、この制度は継続・不継続を決めた上で導入を決定した方が無難。ちなみに、規制導入の仕方は、よくわからなかった。※参考「会社法であそぼ。連結配当規制

・会社法459条と株主提案権
会社法459条の条件を満たす会社は剰余金の配当を取締役会で決定することができる旨を定款で定めることができるが、この定めがあるからといって株主総会で剰余金の配当の決定権限がなくなるわけではない。よって、株主提案で剰余金の配当を提案させないためには、剰余金の配当を株主総会決議によらず、取締役会の決議によって定める旨を定款で定める必要がある。※参考「会社法459条

・現物配当
会社法では現物配当ができることが明確にされた。配当財産としては、自社の製品あるいは子会社株式が考えられる。配当財産の割当は、一定の数以上の株式を有する株主には現物配当をする一方、一定未満の株式を有する株主に対しては現物配当をしないことが認められていることから、現物配当の割当を実施する場合は、基準株式数を有する株主に対しては現物配当を行い、基準未満株式を有する株主に対しては、数に見合った金銭を支払うケースが考えられる。※参考「会社法であそぼ。現物配当(1)(2)

・株主優待制度と剰余金
平成18年9月時点で株主優待を実施している上場企業は1008社(26.1%)。株主優待は現物配当に当たらないとの説が有力である。「株主平等の原則」に反するとの疑問もあるが、「数に応じて平等に」取り扱うと定めた趣旨は、必ずしも例外なく比例的に取り扱うことを強制するものではなく、合理的な定めとして数に応じてと評価できる場合には、この原則に反しないとされている。(ちなみに参考リンクを貼るため「株主優待」「株主平等」でgoogle検索してみたのだが、株主優待制度は株主平等原則に反するとの意見ばかりで、その中には実名を明かしている弁護士や公認会計士もいた。この問題は複雑そうだ。)

・未払配当金
未払配当金の除斥期間は3年と定めている会社が多いが、除斥期間経過後も株主から請求があれば支払に応じている会社もある。その場合も、取締役は善管注意義務違反として損害賠償責任を負わされることはない。

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