前号の座談会(企業価値研究会報告書と今後の買収防衛策のあり方)の続き。
買収防衛に関する取締役会の行動のあり方とか、情報開示のあり方とか色々書いてあったが、一番興味深かったのは「勧告的決議(株主総会で定款変更をしないで防衛策の導入決議をすること)」についてだ。経済産業省の課長曰く、ブルドックソース事件の最高裁判決では「特別決議」ついて言及していないので、特別決議は買収防衛策の形式的な決議要件ではなく、多数の株主の合理的意思が重視されている。だから、勧告的決議についても、合理的意思に依拠していることを示す事情として考慮されうる、と。改めて新しい「報告書」を読んでみると、確かにP13の(注1)にもそう書いてあった。ここで思い出されるのが、商事法務№1807(2007年8/5-15合併号)の座談会だ。ここでは、買収防衛策の勧告的決議について、「アンケート調査」(相澤法務省民事局商事課長)とか「気休めのもの」(森本京都大学教授)といった感じで、まるで空気か水かのような(あってないようなモノの)扱いをしていた。この時の座談会は某弁護士、某証券会社の役員とこの二人が様々な論点にガチンコでぶつかっていて、なかなか面白かったのだが、この時の森本・相澤発言は一体どうなってしまったのか。というか、なぜ今回の座談会にこの二人を入れなかったのか。激しいバトルになっていたことは間違いない。
おそらく企業価値研究会の考えの中には、買収防衛策の導入に特別決議が必要とする→安易な株式持合が増える→株主総会における監査機能が形骸する、という状況を避けたかったので、勧告的決議にも一定の適法性があるような感じにしたのではなかろうか。(違うかな)
買収防衛策が発動されるか否かは、手続よりも買収者の出方次第の面が強いと思うのだが、今後の買収防衛策発動に関する裁判で、特別決議で防衛策を導入した企業と、勧告的決議で導入した企業で違う判決が出たら面白い。
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