会社法が施行される以前、多くの上場会社は株主総会の決議通知と一緒に任意書類として「事業報告書」を、中間期には「中間事業報告書」を株主に送付していた。しかし、会社法では招集通知に添付し株主に提供する書類として、「営業報告書」に変わって「事業報告」を作成することが定められた(会社法435条2項)。これにより、多くの会社が任意書類である「事業報告書」の名称を変更して「報告書」、「中間報告書」を株主に発送した。
ところが、今度は今年から金融商品取引法で四半期報告制度が導入され、決算短信で使われていた「中間」という用語がなくなった(中間決算短信は第2四半期決算短信となった)。そこで、今までの「中間報告書」の「中間」を今後どうするかということが問題になっている。
考えられるのは、四半期報告制度に合わせて「第2四半期報告書」としたり、「株主通信」等への変更だ。もちろん、そのまま「中間報告書」とすることも考えられる。
また、法定開示である四半期報告は年4回開示されるのに対して、自主開示である報告書は現在多くの会社が年2回発行である。そのため、四半期報告制度に合わせて、報告書(株主通信等)を年4回発行する会社が増加傾向だ。第1四半期と第3四半期も同様に冊子を作成、または第1四半期と第3四半期は圧着ハガキ形式の株主通信を送る方法等が考えられる。四半期配当も実施していないのに、四半期毎に立派な株主通信だけ送られてきても、株主は嫌だろう。
最近では報告書も色々と工夫さてれきており、デザインの傾向として、4色以上のカラーを採用する会社が全体の6割以上となっている。内容も、経営者のメッセージや、経理担当役員(CFO)による財務の解説、株主アンケートの集約等、様々な工夫がこらされてきている。法定開示書類とは異なり、報告書にはメッセージ性を込めることができるため、上手く工夫して個人株主、一般投資家にPRすることが望ましい。
なお、四半期報告書の定性情報・生産実績等は会計期間(3ヶ月)となった。中間報告書を6ヶ月累計期間で作成する場合、四半期報告書からの単純な流用する場合は注意が必要となる。
※参考:四半期報告書の作成・提出に際しての留意事項について
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