2年前、会社法を勉強した際にあれこれブログ上でまとめてみたが、今回復習がてらにもう一回まとめてみたい。
・解釈の明確化旧商法では解釈に委ねられていた規律が会社法では明文化された。
例)会社法109条1項 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に対して、平等に取り扱わなければならない。=[株主平等原則]・三角合併合併対価の柔軟化により外国会社による三角合併が可能となった。
B社子会社が海外のB社(親会社)の株式を割当てることで日本のA社を買収することが可能になる。
・有限会社の廃止旧商法上、株式会社には株式に譲渡制限があり少数の株主しか存在しない会社、つまり実質は有限会社と変わらない株式会社が多く存在した。よって、会社法では有限会社を廃止し、取締役の人数制限、任期規制、取締役会・監査役の設置義務等につき一つの法律で差異を調整することとなった。
・用語の定義会社法で用いられる用語について、その定義が会社法2条に列挙されている。省令の2条にも定義規定が置かれている。以下は重要。
①外国会社
明文を置かない限り、会社法上の「会社」に外国会社は含まれない。外国会社の定義上、法人格の有無は問わない。
例)会社法5条 会社(外国会社を含む。…)がその事業として…②親会社・子会社
親会社・子会社の判定が経営を支配しているか否かの実質基準となった。
施行規則3条(子会社及び親会社) …財務及び事業の方針を支配している場合における当該他の会社等とする。③公開会社
上場会社を意味する用語ではなく、譲渡制限の付されていない株式を発行している会社。つまり、1000株発行している会社が999株に譲渡制限を付していても、残り1株に譲渡制限を付していなければ、その会社は公開会社ということになる。
・類似商号規制の撤廃類似商号規制が廃止されたため、類似商号かどうか、同一営業かどうかという登記可否の綿密な調査が不要となった。ただし、同一商号、同一住所の登記はできない(商業登記法27条)。
・不正目的の商号使用禁止不正の目的をもって、他の会社であると誤認される恐れのある名称又は商号を使用することは禁止されている(会社法8条1項)。ただし、不正目的の立証責任は請求者にある(会社法8条2項)。旧商法に比べて、会社法は会社商号の保護が薄いといえる。
・事業譲渡をした場合の競業避止義務A社が事業CをB社に譲渡した場合、原則としてA社は同一市町村及び隣接市町村では20年間譲渡した事業Cはできない。しかし実務上、事業譲渡契約には競業避止義務を負わないとする特約を規定することが多い。
会社法21条1項 事業を譲渡した会社は、当事者の別段の意思表示がない限り…その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行ってはならない。・株式会社の設立設立には発起設立(設立時の発行株式すべて発起人が引き受ける)か、募集設立(設立時の発行株式の一部について、発起人以外の引受人を募集する)があるが、実際の設立はほとんどが発起設立である。
・株主の権利
①自益権
株主が出資者として会社から経済的利益を受けることを目的とする権利
例)剰余金配当請求権(会社法453条)
②共益権
株主が会社の管理運営に参加することを目的とする権利
例)株主総会における議決権(会社法105条3項)
③単独株主権
1株でも持っていれば各株主が独自に行使できる権利
例)累積投票請求権(会社法342条)
④少数株主権
総株主の議決権の一定割合又は発行株株式の一定割合を有する株主のみが行使できる権利
例)株主提案権(会社法303条)
・種類株式会社法には様々な種類株式が存在する。原則、株主平等原則により株式の権利は同一であるが、資金調達の便宜から、会社法では種類株式の発行を認めている。
①特定業績連動株式(トラッキング・ストック)
株式の価値が企業全体の業績ではなく、特定の事業部門や子会社の業績と連動する株式
例)ソニーが2001年にソニーコミュニケーションネットワーク業績連動株式を発行。しかし、その後ソニーは業績連動株式を廃止し、現在日本では全く広まっていない。②取得請求権付株式
株主が会社に対してその株式の取得を請求することができる株式
③取得条項付株式
一定の事由が生じたことを条件に会社がその株式を取締役会(なければ株主総会)決議によって取得できる株式
④全部取得条項付種類株式
株主総会の特別決議でその株式の全部を会社が取得することができる株式
・株式の併合・分割・無償割当て①株式の併合
数個の株式を合わせて、それより少ない株式にすること。株主総会の特別決議が必要
例)10株→1株
②株式の分割
1個の株式をそれ以上の数にすること。分割の際、同じ株式を割当てる。取締役会決議が必要
例)10株→11株
③株式の無償割当て
実質は株式分割と同じだが、既発行株式とは異なる種類株式を割当てることも可能