今日の日経新聞の「経済教室」には、今年の6月末に公表された企業価値研究会の報告書(第三次報告書)について書かれていた。執筆者は企業法務の世界では有名な太田弁護士。太田弁護士はこの第三次報告書を「司法判断に抵触する内容」と強く批判している。例えば、第三次報告書はブルドックソース事件で最高裁が認めた買収者に対する経済的な補償について、否定している。しかし、買収防衛策の発動や適法性が進んだ現状で、最高裁の判断を否定する内容を、ガイドラインとして公表する必要性があったのか。そもそも、このガイドラインは法律の解釈なのか、政策提言なのか、自主的なルールなのか不明確である、と。「最高裁の判断に受け入れがたい部分があるなら、ガイドラインに類する形ではなく、立法提言の形や、それに対する(論評としての)批判の形で報告書を公表するべきである」と、企業価値研究会のスタンスを強く批判している。
結局のところ、実務としては、第三次報告書のみを頼りにするのではなく、判例を参照しながら買収防衛策を運用していくべきだと締めくくられていた。
さて、この第三次報告書が出された6月末、買収防衛策の導入実務を担当していた僕は、プレスリリースの発表も終え、買収防衛策に係る想定問答集の作成も終えて、あとは株主総会を待つのみという状況だった。防衛策の構築には、第三次報告書の出される前の企業価値研究会の「買収防衛策に関する指針」とか、ブルドックソース事件の判例を当然参考にした。そして、株主総会直前に例の新しい指針を発表・・・「空気読めよ」と多くの買収防衛策を担当者は思ったことだろう。
ちなみに、偉そうなことを言っている僕は、まだ第三次報告書の原本は読んでません。そろそろ読まないとな・・・。
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