・使用問題集・参考書と学習時間
▮問題集:ビジネス会計検定試験公式過去問題集2級▮参考書:ビジネス会計検定試験公式テキスト2級
▮日 数:受験者のバックグラウンドによるが、簿記検定試験を受けた経験がある人なら、いきなり2級を受けても大丈夫。土日を完全に勉強に費すなら、期間は1か月で十分。僕は簿記試験は受けたことがないが、財務諸表は仕事で使っていたので、その点はアドバンテージがあった。
なお、BSとかPLと聞いても「?」となる人は、簿記検定試験かビジネス会計検定3級から受験することをおすすめしたい。
・公式問題集と公式テキストを買う
まず、本屋さんに行って、上記の本の最新版を買おう。会計分野は年単位でガラッと変わるものではないが、本試験はディスクロージャーに関連した会社法や金商法(金融商品取引法)の分野も出題される。法律の改正は頻繁にあるので、もし古い本を持っていても買い替えるべき。大抵、日商簿記検定や、税理士、公認会計士試験コーナーの近くに置いてある。なければ、アマゾンで購入。2冊で4,000円ちょいぐらいかかるが、これ以外は受験料(6,600円)だけでいいので、文句を言わずに買うべし。もし、この資格の合格が1万円強を払う価値もないと思うなら受験しない方がいい。ちなみに、アマゾンの書評でも酷評されているが、誇張表現でも何でもなく、特に問題集が控えめに言ってクソである。しかし、マイナー資格であるが故に、他に本が出ておらず、また腐っても試験主催者である大阪商工会議所の「公式」であるため、現時点では本書を買って工夫しながら勉強することをお勧めしたい。
・問題集を分解する
買ってきたら、まず問題集を開く。各分野別問題→各章の解答→2回分の過去問→過去問の解答と構成されているが、これは非常に使いにくいので、それぞれバラバラにする。やや力がいるが、カッターナイフで切れ込みを入れてから、無理やり引っ張れば簡単に分解できる。(ただし、これは問題集を綺麗に使いたい人には向かない。その場合はそのまま使って下さい。)・問題集を解きながら覚える
さて、ここから本格的な勉強のスタートだ。まず、分野別問題に挑戦する(過去問とその解答は少しの間封印)。ここで注意点が、バカ正直に選択肢から回答を選ぶのではなく、1問1問に対して○×形式で解いていくこと。空欄挿入問題もなるべく選択肢を見ずに解く。こうした方がトレーニングとしての効果は高いのだ。アウトプットしながらインプットする方が効率もいい。簿記検定試験を受けたことがない人は、最初は全くわからないだろうが(僕もそうだった)、とりあえず持っている知識を総動員して挑戦してみて、そして解答と解説を見る(解説部分を分解していると、使いやすい)。
さて、ここからが少しネックなのだが、同系統のビジネス実務法務の問題集は解説文章がかなり詳細かつ丁寧に書かれており、公式テキストが手元に無くても解き進めることができる。一方、このビジネス会計検定の公式問題集の解説は、ほとんどの問題において「第○章第○節参照」としか書いていない。せめて、該当ページ数くらい書いてあれば救いようがあるのだが、それすらないので、公式テキストの参照と書かれてある範囲から、ペラペラとめくりながら自分で答えを探さなければならない。正誤問題においては、間違っている選択肢の、どこの部分が間違えているのかすら書いていないものもあり、もはや問題集の解説の体をなしていないと言えるだろう。
従って、問題集を解く際には公式問題集がセットで必須であり、僕は理解を深めるためにも、解説ページの余白欄に、公式テキストやネットで調べた情報を書き込んで活用した。
分野別問題は大体6回くらい繰り返せば、全問正解できるようになっているはず。ちなみに進め方としては、1回正解した問題はチェックを付けて飛ばして、間違えた問題だけ繰り返していく方法がお勧め。すべての問題にチェックがついたらチェックを消して再度解き直して、とにかく完璧にこなすべし。
・公式テキストの問題もしっかり解く
先述の通り、問題集と解くと必然的に公式テキストを何回も開くことになるので、敢えて通読する必要性は低いと思われる。一方、この公式テキストにも例題問題が結構収録されており、こちらの問題も問題集と同じ要領で解き進めることをお勧めしたい。但し、このテキストの例題は問題の真下に解答を掲載するという独学者への優しさを微塵も感じられない仕様となっているので、本のしおり等で隠しながら解くしかないだろう。加えて、私がこの公式テキストが腐っていると思うのが、巻末の索引だ。掲載項目が少ない上に、「減価償却」という言葉が索引に設けられていないのだ。会計の試験であるにもかかわらず、である。これにはさすがの私も驚いた。というか呆れた。テキストの執筆者を見ると、関西学院大学と関西大学の教授で占められているが、関西であれば京都大学や大阪大学といった立派な大学があるので、そちらの教授に頼むべきであり、少なくともこの2大学の関係者には今後執筆を依頼しないことを、大阪商工会議所には強くお勧めしたい。
・財務分析はカードを使って丸暗記するのが効率的
第9章の財務分析では、「営業キャッシュ・フロー・マージン=営業活動によるキャッシュ・フロー/売上高」など、たくさんの公式が出てくる。頭の良い人は、問題を解いていく中で自然と覚えることができるのかもしれないが、私は時間がなかったので、カード化して何回も繰り返して丸暗記した。この分野は絶対に出題されるので、丸暗記しておけば得点源にもなる。逃げるのではなく、しっかりと暗記してしまうことをお勧めしたい。財務分析カードの作成例 |
https://drive.google.com/uc?id=1OnuXtoXrGlUbQ4BhIjh0XzlCVpRo-q6H&export=download
・過去問を実施して仕上げ
分野別問題は「もう間違えねーよ」というレベルに達したら、封印していた2回分の過去問を出してくる。そして時間を計って挑戦。こちらも解説が全く充実していないので、公式テキストで自分で調べた上で、間違えた問題を中心に繰り返し解いて完璧にする。これだけすれば、十中八九ビジネス会計2級の試験は合格すると思う(合格率は30%~40%らしい)。ちなみに、私は2回目の過去問を解いた時点で既に合格ラインである7割を超えたので、問題集に収録されている問題をしっかり解いて復習するようにすれば、大丈夫だと思う。
・独学では合格は難しい?
ビジネス会計検定試験2級は独学では難しいからといって通信講座やスクールに通うことを勧めるサイトもあるが、前述の通り、それは人によるであろう。本試験の受験生は、簿記検定試験2級を合格した後に、会計知識を深める人が大半らしいので、簿記検定試験を勉強した人であればスクールは不要。また、僕のように簿記のテキストすら開いたことがない社会人でも、多少財務諸表の知識があれば、問題集をしっかり解くことで余裕で合格できたので大丈夫である。但し、しつこく指摘している通り、公式問題集及び公式テキストの出来が、控えめに言っても相当悪いので、そこで挫折しそうな人はスクールや通信講座に通われることをお勧めしたい。
なお、「減価償却ってなんですか」というレベルの人は、下記のような会計の基本の本を一読されてから勉強を開始されることをお勧めする。
・ビジネス会計2級は昇進・転職に立つのか
はっきり言って就職活動や昇格にはあまり役に立たないだろう。難易度は高くないし、2chなどでよくある資格ランキングでも真ん中くらいだ。何よりマイナー過ぎて、この資格の存在そのものを知らない人も多い。企業の経理部や財務部の社員が簿記を取得した後で、自己啓発として取得するくらいだろうか。ちなみに僕は経営分析を行う立場になったので、財務諸表をしっかり読めて、かつ分析ができるようになりたくて、本資格を取得した。もっと会計分野を極めたいのであれば、ビジネス会計検定1級や日商簿記検定1を目指すべきだろう。こちらは論述試験なので、より高度な会計知識が求められている。
・実務には役に立つのか
これは財務や経理の担当者であれば、実務にかなり役に立つと言える。BS・PL・CFのつながりや、株主資本等変動計算書がどう関係しているのか、よく理解できるようになるし、各科目がどういう意味を持っているのかもしっかり理解できるようになる。また、株式投資をしている人であれば、ROEやPER、PBRといった収益指標もしっかり勉強できるので、おすすめである。ビジネス会計検定は試験内容はとても優れているが、テキストと問題集が腐っているので、どこかの出版社がちゃんとしたテキストと問題集を出すことを期待したい(予備校系はビジネスチャンスかもしれない)。