ビジネス会計検定2級試験を経て、限界利益についてもう少し掘り下げて勉強してみようと手に取ったのが本書【見える化でわかる限界利益と付加価値】である。
結論から言うと、管理会計とか限界利益を学ぶ本としては全くおすすめすることはできない。敢えて使い道があるとすれば、限界利益に関してはある程度理解している人が、こういった考え方もあるのかと見識を少し広げるくらいにしか役に立たないだろう。
なぜ本書がダメなのか。理由は簡単で、「①書いてあることが分かりにくい」、「②誤字脱字及び誤植が多い」、この2点である。
「①書いてあることが分かりにくい」に関しては、私の頭が悪く理解力が乏しいところから生じる問題かもしれないが、なかなか独りよがりな文章が構成されている上、ところどころに挿入される図表やグラフが一体本文の何を表しているのか理解するまで時間がかかるものが非常に多い。感覚で言えば、説明がさっぱり分からない会議のプレゼンやセミナーの話を聞いているのと似ている。
「②誤字脱字及び誤植が多い」に関しては、①にも関連するが、もともと不明瞭な文章に誤植が入ると、それだけでストレスが溜まるのである。
以下、私が読んでいて気づいた誤字脱字に加えて、付け足さねば分からない部分に関して掲載するので、(本書は買わないに越したことはないが)もし課題等でどうしても本書を読まなければならない人は参考にして頂きたい。
■ □ ■ □ ■
P24 ■パンの原価の何が直接費で、何が間接費か
技術スタップ→技術スタッフ
P41 【図】修繕費は変動費か固定費か?
※図が何のデータを元に何を表しているのか不明
P48 ■売値を決めるため
8,0000円→80,000円
P86 ■残業と休出をどれくらいすればよいか
前提条件の1.50時間→P84の前提条件のこと
P89 【図】ライン・機械別シミュレーション
26,30 1,724→26,301,724 ※数字が離れている
P123 ■管理面の効果金額の計算
5-11→P120のタイトルのこと
P123 【図】管理によるコストダウン
S1→P121のS1のこと
P128 ■意思決定の分かれ道に立ったら
何が優位かの判断基準は①の目的によって違うのが→何が優位かの判断基準は①の目的によって違うが
P147 【図】内外製の判断
②材料待ち→材料持ち
③材料型待ち→材料型持ち
P162 ■設計から見直すか作り方を見直すか
長期的にはこういう製品を改善対象とて→長期的にはこういう製品を改善対象として
P172 ■スマイルカーブを国内産業に当てはめてみる
付加価値が低いというスマイルカープが描ける→付加価値が低いというスマイルカーブが描ける
P196 ■固定費にはどのような種類があるか
月割経費のほとんど固定費である→月割経費のほとんどは固定費である
P197 【図】4種類の製造経費がある
注目 の文字が意味不明
P198 ■固定費は部門別に大きなものを攻める
ここに部門とは管理可能部門のことで→ここの部門とは管理可能部門のことで
P200 ■設備投資のステップ
税引後予想未処分利益剰余金 ※グーグルで検索しても出てこない言葉
P204 ■数の多いものは開発費をかける ※この計算式のミスが最も劣悪
2000×10年+180+1.3X220+3.0X
=380+1.3X1.7X
=160X=94t
→2000÷10年+180+1.3X
220+3.0X=380+1.3X
1.7X=160
X=94t
特に最後のP204の方程式のミスは×と÷を間違えるという小学生レベルの致命的ミスに加えて、改行部分を間違えて式が成り立たなくなっているのに、そのまま掲載しているというお粗末さ。加えて私がうすら寒く感じたのが、著者である橋本賢一氏が公認会計士であるということと、本書が既に初版6刷版であるということである。著者だけではなく、出版社である日刊工業新聞社のレベルの低さも浮き彫りにしている。
以上より、少なくとも独学で何かを勉強しようと思う方には、本書は言うに及ばず、橋本賢一氏の書籍は強くお勧めしない。
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