今日も一人若手社員の退職届が受理された。旧帝大理系出身、ウチのような中小企業では珍しい程のエリートなのに勿体ない。そう言えば、入社数年で退職する若手社員はいわゆる偏差値の高い難関大学の卒業生が何となく多いな、と感じたので、少し遡って若手退職者の学歴を調べてみたら、やはり旧帝大か、それに準じる大学(広島とか千葉とか)の理系出身者が圧倒的に多いことが分かった。未来を担うエリートばかりが流出するのは、会社にとっては大きな痛手であろう。
そもそも、平均してアホな私立大出身が多いこの会社に、なぜか毎年1人か2人は旧帝大の理系出身者が新卒で入社してくる。
さて、それはなぜか。
人事部が採用を頑張っているからだろうか?いやいや、それだったら学歴は大体平均するはずだ。
答えは「寄付金」だ。
毎年、安くない額の寄付金を旧帝大の特定学部に寄付しているのだ。その上で人事担当役員がわざわざ大学まで出向いて教授にこうお願いする。
「大学院に落ちた学生がいれば、是非当社を受けるように勧めて下さい」
そう言えば、理系なのに彼らの中には院卒がゼロだった。
院試験を落ちた彼らは、教授に勧められるままによく知らない企業の試験を受けて、ほぼ顔パス、一回の面接で内定が出る。それどころか、面接なのにその後に昼食会が開催され、役員がアテンド。内定後は、キレイ目な若手女性社員を中心にそろえて特別懇親会まで開催。このバブル期みたいなもてなしは、院試験を落ちた彼らだけが対象で、一般枠の採用試験を受けた学生どもには、ない。
が、彼ら(院試験落ち)もアホではない。そもそも給料が圧倒的に低いのだ。規模も小さく、設備もよくない、技術力も低いので、業務範囲も限られたものになる。その上、大抵の場合、上司は自分よりアホだ。加えて、重要なポジションは創業家とか親会社とか金融機関からの出向者が支配しているという、一般的な中小企業の現実が見えてくると、働き続けることがアホらしくなってくるのは仕方がないことかもしれない。
そして彼らは、入社して数年が経過すると、「入社する」という教授との約束は一応は守ったと言わんばかりに、大学院に行ったり、他社に転職したりする。もしかしたら、教授からは「1年くらい我慢したら後は公務員試験でも受ければいい」とか言われているのかもしれない。だから、もう寄付金のような無駄な出費は辞めたらどうか、と思うのだが、会社は聞き入れてくれないだろうな。
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