2014年8月6日水曜日

来年の株主総会に向けて

6月末の株主総会が終わり、その後の2大アンケート(と勝手に呼んでいる)商事法務と株懇の調査表の提出も終え、少し株主総会の意識が離れた頃ではないだろうかと思う。
本格的な準備は年末ごろから始まるとして、とりあえず僕が見聞きした今年の株主総会のトピックス的な内容をまとめて紹介したい。


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1.6月総会の集中日が40%を切る
今年の6月総会の集中日は27日で38.7%、第2が26日(17.9%)、第3が25日(12.4%)、第4が24日(10.6%)。当社の株主総会は第4集中日だった。なお、集中日が40%未満になったのは初のこと。
また、20日(金)が第5集中日(8.6%)だったことから、株主総会が集中する「6月最終週の前週の金曜日」にも開催日のニーズ傾向が見られた。

2.コロワイドの株主総会出席者が最多
今年出席者数が最多だったコロワイドは、招集通知にお土産の内容(クッキー詰め合わせとグループ店舗飲食券3,000円)を記載の上、従来は持参した議決権行使書分だけ株主に渡していたお土産を「株主1名様につき、1つ」と限定する旨を明記した文書を同封したところ、逆にお土産の内容を知った株主が多数出席し、出席者数が大幅に増加することとなった(前年比6,127名増の11,114名!)。

3.セイノーHD等、議案を撤回する会社が増加
会社提案議案が撤回された事例は8件で、昨年から3件増加した。その中で、セイノーHD(西濃運輸の持株会社)は種類株式を発行可能にする定款変更議案につき「安定的な株主基盤の維持」と理由に記載したため、機関投資家からの賛同を得られず、議案取り下げとなった。機関投資家の株主数が増加した場合は、議案の文言(理由)の記載方法や、定款変更は、絶対変更しなければならない部分と、チャレンジ的な変更部分を分けて議案にする等、工夫が必要となるだろう。

4.ストラテジックキャピタルによる株主提案
投資ファンドによる株主提案があった社数は3社(昨年1社)で増加傾向にある。その中でも、最近は旧村上ファンドの経営陣の一人が立ち上げた「ストラテジックキャピタル」が活発に活動しており、今後の動きには注視する必要がある。

5.「業績達成等を行使条件」とするストック・オプション議案
荏原製作所等が付議したストック・オプション議案は、「業績達成等を行使条件」とするものであった。当該内容のストック・オプション議案を付議した会社は5社と少数ではあるものの(昨年は1社)、今後のトレンドとなる可能性はある。

6.社外取締役2名以上設置義務化の可能性
5月に自民党は「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の制定を発表した。この指針案では、東京証券取引所に上場する会社は、独立性の高い社外取締役2名以上を確保することを求め、確保しない会社には株主総会での理由説明を義務付けるとしている。なお当該義務付けは、会社法ではなく、東証の規則改正で適用される予定。

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僕が特に気になっているのは「6.社外取締役2名以上設置義務化の可能性」だ。日経新聞で何回か取り上げられている内容なので、知っているとは思うが、これは監査等監督委員会設置会社への移行を暗に示しているのだと思える。日本の監査役会設置会社というガバナンスシステムはもうだめだということだろう。

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