ちょっと古いが、今週月曜の日経新聞の法務記事に「社外取締役導入促す」というタイトルの会社法改正案を紹介した記事が書かれていた。
リアルタイムで株式実務に携わっている人なら既に知っていることだと思うが、審議入りの会社法改正後、社外取締役を設置していない会社は株主総会の事業報告や参考書類に社外取締役を設置していない理由を記載した上で、更に株主総会の場で理由を説明する義務が発生することになる。この設置しない理由については紋切型の説明では不十分とされており、事実上、上場会社の社外取締役設置の義務付けとも言われている。
更にこの記事によると、企業法務に影響力の大きい中村直人弁護士のコメントとして「普通に考えれば社外取締役を置くことが相当でないと納得できるような理由は見当たらない」とすら書かれていたので、上場している会社は社外取締役を導入せざるを得ないだろう。どうしても今の社外監査役に追加して部外者をボードメンバーに入れたくないという会社には「監査等委員会設置会社」という監査役不要の妥協の産物があるので、こちらに移行するしない(そして、このケースでも社外取締役を導入したことになる)。
しかし、これまでの社外監査役を社外取締役に変更するだけでOKな制度ができるといのは、よくよく考えてみると不思議なものだ。本質的には何も変わっていないのだから。そもそも、日本の上場会社のガバナンスに監査役会という制度は不要だったということではないか。であれば、強制的に社外監査役は社内取締役にコンバートしてしまうような法律を強行すれば万事解決になると思うのだが、違うのだろうか。
ただ、間違いないことは、社外取締役を何人入れてもオリンパス級の不祥事を起こす会社は、数年内には1社くらい出てくるであろうし、99%以上の上場会社は、たとえ社外取締役が不在でも上場廃止基準に抵触するレベルの不祥事は起こさないだろう。
株式会社に投資するということは、こういった役員連中主導による不祥事といったリスクも僅かながら存在するということを認識させた上で投資させた方が、健全な株式市場になると思う今日この頃であった。
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