2010年9月2日木曜日

会社の値段



やや古い本だが、現在仕事で読んでいる「MBAバリュエーション」が僕の頭では少し難しいので、入門として同じ著者の新書「会社の値段」を再読してみた。

2006年に発行されている本なので、(当たり前だが)リーマンショックなどには触れられておらず、ライブドア事件や村上ファンドの活躍が時事的なネタとして取り上げられている。第5章など若干数式や財務・会計分析について触れられているところもあり、僕のような数字に弱い人間には読みづらい部分もあった。しかし、それ以外の点に関しては決して古さや難解さを感じさせないところが、この本の素晴らしいところだ。

「そもそも株式会社とはなんぞや」という問いかけに、僕は昨今の企業買収合戦とその防衛策(実際に導入プロジェクトも参加した)で嫌というほど考えさせられたが、株式会社の企業価値とは全てのステークホルダーにとっての価値だと言うけれど、ステークホルダー間の利害は対立しているではないか(顧客にとってはいい製品を安く作ってもらいたいし、従業員は高い給料が欲しいし、株主はコストを切り詰めて利益を上げて欲しい)といった主張や、会社の金融資産は本当に株主のモノなのか、といった問いかけは、改めて株式会社とは何か、ということを考えるきっかけになると思った。

特に第9章とあとがきは一読の価値あり。経済がグローバル化していく中で(もう既にこの表現自体が古臭いが)、日本企業はどう対応していくべきなのか。少子高齢化と人口減がますます加速していくなかで、外資からの投資を引き出していくには、どうしたらいいのか…等など。この本が出版されて4年が経つが、日本における株式会社や株主に関する考え方は、あまり進歩していないようだ。

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