2008年3月18日火曜日

ブルドックソース事件とモリテックス事件

先日セミナーを受けてきたので忘れないうちにメモ。テーマは昨年のブルドックソース事件とモリテックス事件をふまえて。


平時の買収防衛策の意義
ブルドックソース事件では、有事(買収者がいるとき)における買収防衛策の導入で発動が認められたが、だからといって平時(買収者がいないとき)における防衛策導入の意義がなくなるわけではない。なぜなら、有事に導入すると、買収者に経済的損害を与えることができなくなる、つまり「濫用的買収者」であったとしても、そのことが直ちに経済的ペナルティーまでも正当化はできないから。だから、ブルドックソース事件における新株予約権の現金買取は必要であった。
一方、平時に防衛策を導入しておけば、買収者は対抗策が発動された場合の経済的損失が予測できるので、その上で踏み越えてきた結果の経済的損害は正当化される(らしい)。

買収防衛策の導入方法
ブルドックソース事件における判決から考えて、買収防衛策は定款変更により買収防衛策の導入を株主総会特別決議事項にしたうえで導入をすることが望ましい。定款に買収防衛策の導入を株主総会の決議事項とする旨の規定を設ければ、有事における争点(防衛策の根拠)を減らすことが可能となる。逆に、取締役会決議、株主総会普通決議による勧告決議で導入した場合は、そこが争点となって買収者から攻められやすくなる。また、同じく論点を減らしておく観点から、独立委員会のメンバーも防衛策議案の中に入れて導入決議の承認を得ることが望ましい。

モリテックス事件
モリテックスが会社提案への賛同に言及したうえで、議決権を行使した株主に500円分の商品券を配布した点について「会社法で禁じる利益供与に当たる」と認定した事件である。裁判官は、個人株主の多くは議決権行使を議案も読まずに白紙委任で返送する場合が多く、委任状を勧誘する株主と経営者が「武器対等ではない」と判断した。委任状争奪戦が行われている最中に、議決権行使を促進する目的で商品券を配る行為は、基本的に避けたほうがいい。

0 件のコメント:

コメントを投稿