最近、ESG関連の書籍を書店でよく見かけるようになった。が、1冊もそういった本を読んでいないので、とりあえず勉強のきっかけに、と思いESGの開示に関するセミナーに参加した。
足元、東証プライム市場に上場している会社が対応しなければならないのは、気象変動に関する情報の開示で、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づいた情報を2022年度4月以降開催の株主総会の終了後に開示することになっている。日本の上場企業は6月株主総会会社が多いことに鑑みると、今後色々な会社の開示例が出てくることになるのだが(プライム市場)、このESG情報の開示については、色々と動きがある。
その一つが、開示基準の統一だ。
日本国内企業のESGの開示情報は、現時点ではTCFDに基づいた開示が進んでいるが、GRIやCDP等、国際的なESG情報開示基準は多様に設定されている。こうした状況を受けて、ESG関連の統一した基準作成が開始された。それが、国際会計基準の設定に関わるIFRS財団が設立する「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」であり、2022年6月には各機関はISSBに統合される予定となっている。
ISSBが国際的に共通して利用可能なベースラインとなるサステナビリティ報告基準を策定し、そのベースに各国が規制を上乗せする形で検討が進められているが、現在開示されているISSBの開示基準(案)はTCFDで求められる内容より細かいものとなっており、これに対応するには企業の負担はより大きくなると思われる。
日本国内では、有価証券報告書において新たにサステナビリティ情報を記載する方向で改正が進められている。内容と適用時期は未確定であるが、2024年の有報から影響を受けるだろうと見られている。
また、ISSBの動向に対応して、日本においても財務会計基準機構がサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が2022年7月に設立し、国内の開示基準の開発が行われる予定。
日本の上場企業は、国際基準であるISSB全てに対応するのではなく、これを受けた国内基準SSBJに対応していくことになるだろう。今後、TCFD提言への対応及び開示を進めておき、国内基準SSBJに備えておくことが望ましいだろう。
それにしても、段々と上場企業の開示コストが重くなっていくな。東証再編においても、微妙な東証一部上場企業がプライム市場に移行したけれど、こうした義務が課せられることを考えると、やはりプライム市場に残っていけるのは、時価総額上位500社くらいなのではないかなと思ったりしている。
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