この人の本名は村井智建、ネット界隈ではかなり有名な「ユーチューバー(YouTuber)」だった。実を言うと、私、この「AppBankは暴力団と関係ないよ!」「やまもといちろう氏は許せないよ!」というマックスむらい氏の動画を観るまで、ユーチューバーの動画を一切見たことがなかった。
「好きなことで、生きていく」というユーチューバーを形容するフレーズが、あまりにもアホらしかったのである。
しかし聞くところによると、彼らの動画はものすごく再生回数が多い上に、一部の小学生らには絶大な人気があるというではないですか。というわけで、これを機に、いくつか再生回数の多い「マックスむらい」の動画を視聴。(マックスむらい - YouTube)
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何だろうか、このラジオで身内の雑談を聞かされているような感じは。同じYouTubeを観るなら、スポーツとか音楽とかももクロとかの動画を観た方が、有意義な時間を過ごせることは間違いなさそうだったが、これは「マックスむらい」が僕に合わなかっただけで、実は、もっと僕のハートをがっちり鷲掴みしてくれるユーチューバーの動画なら、新しい世界が広がるかもしれない、そんな淡い期待を抱いて、日本一のユーチューバー言われている「HIKAKIN(ヒカキン)」の動画を観てみた。累計再生回数の多い動画と最新の動画を。当然ながら、ヒカキン氏(本名:開發光)の動画を視聴するのは、これが初めて。(HikakinTV - YouTube)
ヒカキンさん |
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端的に言うと、「○○を食べてみた」とか「××を買ってみた」とか「△△のアプリで遊んでみた」とか、よく個人ブログで書かれている商品レビュー等を、動画でやっているだけだった。ただ、話口調などに嫌な感じは一切せず、気づけば動画を最初から最後まで見てしまっていた。考えすぎかもしれないが、声のトーンとか商品の見せ方とかタイミングとか、かなり緻密に計算して撮影、編集されているのではないだろうか。
とは言え、ずっと見ていたい、何回も繰り返し見てみたい、と思うような映像でもなく、2つほど動画を拝見してから、そっとユーチューブを閉じた。
・・・閉じたのが、ただ、僕が少し気になったのが、本来の動画の主旨とは全然関係ない、動画の撮影で映されたマンションの設備のグレードである。バスルーム、キッチン、ドアなど、かなり洗練されたスタイリッシュで高級そうな設備が写し出されており、この人、いったいどういうグレードのマンションで生活しているのだろうかと興味が湧いた。
さすがネット時代、googleで「ヒカキン 年収」で検索してみたところ、同じようなことを考えて、すでに当該マンションを割り出しているネット住人が何名もいたので、調べることは、左程難しくなかった。
結論を言うと、HIKAKINは現在、家賃月160万円の東京都港区赤坂の高級マンションに住んでいるらしい(家賃150万円という説も有り)。家賃160万円である、16万円でも一人暮らしには十二分高いし、良い部屋に住めるが、こいつはゼロが一つ違った。売れっ子の芸能人かよ。いや、「堀北真希・山本耕史夫妻の家賃が35万円」とセンチュリー21の社員がTwitterでバラして炎上した事件もあったが、堀北夫妻でも家賃35万円なのである。勝ち組芸能人の遥か上ではないか…。
そうなると、気になるのは年収だが、やはり億単位で稼いでいるようだ。住居の家賃だけで年間2000万円近くかかるのだから、それくらいの年収は当然だろうが、まさかユーチューバーの連中が億単位で稼いでいるとは予想だにしなかった。ちなみにこのヒカキン氏、「僕の仕事はYou Tube」という本を出版したり、テレビCMまで出ているので、年収の中身は純粋なYouTube広告の収入だけではないだろうが、大半はYouTubeからの収入だと考えて間違いないだろう。僕は、せいぜいトップの連中も年収1000万円くらいで、その程度でよくネットに顔出しして、アホなことばっかりできるよな、とか思っていたが、億単位で稼げて、月160万円のマンションに住めるというのであれば、話は別である。
「好きなことで、生きていく」 ユーチューバー、おそるべし。
おそらく、ユーチューバーたちの中には、既に勝ち負けがはっきりと分かれているだろう。大半の負け組ユーチューバーは悲惨で年収はコンビニのバイト以下とは思うし、上位1%のユーチューバーが全ユーチューバーの再生回数の9割を占めるような熾烈な世界だとは容易に想像できる。しかし、このHIKAKINの映像を見ると、極めて普通の男性が、単純にものを作ったり、食べたり、ゲームしたりしているだけであり、要するに「これくらい俺でもできそう」なくらいハードルが低く見えるのだ(実際、スマホで撮影した動画をYouTubeに投稿するだけであれば、ハードルは低い)。そして、上手くいけば、月160万円のマンションに住めるのである。パズドラとかモンストで遊んだりしているだけで、プロ野球選手のトップクラス並みの年収が得られる(かもしれない)のである。
だから、このHIKAKINやマックスむらいが消え去るまで、このユーチューバーへ新規参入するドリーマーは後を絶たないと思うが、今からヒットするのは、ほぼ不可能に近い。もし今から参入して大成功できるとすれば、かなりの才能と努力に加えて運が必要になるであろうし、そして、それだけの力がある人であれば、別にユーチューバーでなくとも成功できるのではないかと思う。
とは言え、ふと思ったのだが、こういったHIKAKINたちの動画を観る人たちって、どういう人なのだろうか。安い給料で働かされ、お金がないからYouTubeやスマホの無料ゲームで時間を潰すしかないような若者ではないだろうか。本当はお金を使って色々遊びたい、しかしお金がないから、その代わりにHIKAKINたちが遊んだりモノを買ったり食べたりする動画を観て満足するのだ。だとすれば、彼らの使い道のない時間が、HIKAKINたちの所得への変わっていく、新手の貧困ビジネスとも呼べなくは、ないな(笑)
ユーチューバーの動画を観て、原則無料のスマホゲームで遊んでいる若者たちよ、勝ちたければ、コンテンツは作る側に回るのだ。ただ、もうユーチューバーは寡占状態だからやめておけよ。
<追記>
調子に乗って色々ユーチューバーについて調べてみたけれど、メイク動画を紹介する「佐々木あさひ」さん、可愛いね!それだけ。(sasakiasahi - YouTube)
<追記2>
ヒカキンさんについて、更に詳しく調べてみたところ、ユーチューバー以前にビートボックスの有名人で、エアロスミスとの共演をはじめ、SMAPの番組に出演したり、その分野(ヒューマンビートボクサーというらしい)としての第一人者であることが分かった。
ビートボックスの動画をユーチューブに投稿し、動画再生回数日本一を樹立したことから、ユーチューブの可能性にいち早く気付いたヒカキン氏。加えて、海外のユーチューバーがゲーム実況などを行うことで、広告収入を得ているビジネスモデルを知り、ビートボックスの一本足打法から総合的なユーチューバーへと舵を切った。そして、今の盛況を見るに、その舵切りは大いに成功したと言えるだろう。(HIKAKIN - YouTube)
あの微妙な商品紹介やゲーム実況動画も子供をメインターゲットにして製作されており、我々のような心が汚れてしまった大人が視聴しても「?」なのは当然なのだ。現代の子供が一人1台スマホを持っている通信環境を考えると、そのターゲット戦略も十二分に成功している。
つまり何が言いたいのかというと、ヒカキン氏はビートボックスという分野で既に地位を確立した上でユーチューバーとして成功しているのであって、ただちょっと面白い兄ちゃんが、カメラの前でご飯を食べたり、ゲームで遊んだりしているだけで成功したわけではないということだ。
お前ら、何の実績もないのに「好きなことで、生きて行く」なんてフレーズに乗せられて、ユーチューバーになんてなっちゃだめだぞ。(改めて)
<関連エントリー>
色々と調べたので、改めて書きました。
・ユーチューバーになりたいか・・・?(2016年7月14日)
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