久しぶりのエントリーが大量保有報告書かと思われそうだが、非常に苦労した上、いずれまた提出する日が来ると思うので、その来るべき日の自分用のメモとしてここに残しておきたい。
一般のサラリーマンであれば、上場企業の大量保有報告書を提出する機会などそうそうないと思うが、会員規模の大きい持株会の事務局をやっていたりすると、数年に1回は変更届を提出することもあると思う。大量保有報告書は、多い日であれば1日に百件以上が提出されているので、誰でも簡単にできそうな気がするが、未経験者のあなたが思っている以上にひっかけポイントは多い。業務引継ぎ後などで初めて提出作業をするときは、必ずどこかでひっかかると思われる。
※1 本エントリーは、大量保有報告書制度の概要とかではなくて、単純に提出作業の詰まった箇所を書いています。
※2 2022年2月現在の内容です。
1.ブラウザはIE
大量保有報告書(変更報告書)の提出はEDINETで行う。臨時報告書などは、Edgeで普通に行えるため、どのブラウザでもいけそうな気がするが、大量保有報告の場合、一通り情報を入力して、次に進もうとして「作成」ボタンを押そうとすると、押しても進まない現象が発生する。じゃあ、その横の「報告書一時保存」はできるとかというと保存できる。なので、初心者は、「入力内容に何か不備があるのではないか」と考えて、内容を弄り始めるのだが、そこが落とし穴で、IE(Internet Explorer)で操作すれば一発で作成ボタンが押せる。令和の時代でもIEでなければ動かないシステムが、金融庁のEDINETと覚えておこう。
※IE以外のブラウザでは、作業ボタンをクリックしても何も起きない。 |
2.「代替書面・非縦覧添付」はタイトル変更が必要
IEのトラップを無事に通過して、マニュアル通りに「事前チェック」を受けようとすると、以下のエラーが出る。
いや、意味が分からない。このメッセージでは、設定させていないファイルが存在するので、そのファイルを消せばよいのか、他の操作がいるのか、そもそも入力ミスがあるのか、分からない。
答えは「代替書面・非縦覧添付」にタイトルを入力する必要があり、ここのタイトルの空欄ゾーンに以下の言葉を入力すればOK。
0401010_kojin_teisyutsusya.htm → 個人である提出者等の住所・生年月日
0501010_baikaisyatou.htm → 株券等の売買の媒介者等の名称
これもエラーコード等からでは絶対に読み取ることのできないアクションなので、注意されたし。
3.本登録できない可能性を疑う
ブラウザもクリア、「代替書面・非縦覧添付」のタイトルもクリアして、「仮登録」まで進み、あとは提出だけの状態になったにも関わらず、私には最後の関門が待ち構えていた。
・・・!!?
ない・・・。
提出にあたる「本登録」のボタンがないのだ。ここでも、またブラウザとかセキュリティゾーンの設定とか、一つ前の入力が間違っていたとか、色々と考えてしまうが、結論から言うと、あなたの使っているIDとパスはサブユーザーの可能性が高く、さらにメインユーザーのサイトで提出権限を制限されている可能性が高い。すなわち、メインユーザーのアカウントがわからなければ、今の状況では提出は不可能ということになる。
前任者が退職してしまっている場合などは、メインユーザーのIDとパスは紛失してしまっている可能性が非常に高いが、その場合はIDとパスワードの再発行の手続きが必要となる。この場合、とりあえず所管の財務局に電話すれば、埼玉にある関東財務局に電話してくれと言われる。
4.変更報告書のNoは・・・?
おそらく訂正報告の理由の半分くらいはこれではないかと思われる。変更報告書の最初にNoを記載するところがあるが、これは「これまで提出してきた変更報告書の何番目なのか」を書くので、初めての変更報告書はNo.1になる。私は、同日に提出する報告書の連番なのかと思っていたので、同じように思っている人がいれば、今一度、金融庁のマニュアルを確認されたし。
🌸 🌸 🌸
以上が、私がつまずいたポイントの一部である。これ以外にもいろいろと躓いたが、とりあえず声を大にして言いたいのは、「大量保有報告書は提出するのに時間がかかる」、ということである。提出期日は5営業日以内なので、余裕を持って作業にとりかかることを強くお勧めしたい。
【番外編】保有株式比率は必ず計算して前回と比較しよう
下に掲載してある参考情報のように、発行済株式総数の増加による持株比率の増減は、大量保有報告書の提出義務の発生要件ではない。しかし、ここにも落とし穴があって、例えば極少量の株式を売却したので、変更報告書の提出は不要だろう、と思っていたら、ストックオプションの行使などによって発行済株式総数が増加しており、数値だけ見れば「前回提出時」より持株比率が1%以上減少していることは大いにあり得るのだ。
財務局のエリート職員から、お電話が入ってくる前に、1%以上の増減には自分で気づきたいものある。
<参考:関東財務局のQ&Aのページより>
Q16 発行者が第三者割当増資を行いました。その割当は受けなかったものの発行済株式総数が増加したため株券等保有割合が直前に報告した数字から1%以上減少しました。このように提出者の保有株券等の総数に増減がない場合にも報告書の提出が必要でしょうか。
A16. 提出者の保有株券等の総数に増減がない場合(例えば、設問にあるような第三者割当増資による発行済株式総数の増加により提出者の株券等保有割合が直前の報告書に記載された株券等保有割合から1%以上減少した場合)であれば変更報告書を提出する必要はありません。
なお、その後の取引により保有株券等の総数に変更があれば、その時点で株券等保有割合を算定し直していただき、直前に提出した報告書の株券等保有割合から1%以上の増減があれば変更報告書を提出する必要があります。(金融商品取引法第27条の25)
※うっかり提出が遅れてしまった場合、財務局からは苦言は言われるものの、そこまできついお叱りは受けないと思います。