2011年2月16日水曜日

決算公告について

先日、未上場の子会社の社長から公告方法について問合せがあった。

「これまで決算公告をしていなかったが、電子公告であればタダで決算公告ができるとネットで見たんだけど、これってどうなの?」

そこで、自らの勉強の意味も込めて電子公告制度について調べてみたところ、これが結構ややこしかった。


まず、会社法は債権者や株主に大きな影響を及ぼす行為のうち、特に指定する行為に対しては公告をすることを義務づけている。公告の方法は3種類(官報、日刊新聞紙、電子公告)で、いずれかの方法を定款に定めることができる。公告の方法を定款で定めてない会社での公告方法は「官報に掲載する方法」となる。費用面では「官報」が圧倒的に安い。

但し、決算公告については特例が設けられており、「電磁的方法による公告」が認められている。これは、通常の「電子公告」を行う場合と異なり、公告調査機関の電子公告調査を受けることを要しない。この場合には、定款変更は必要ないが、貸借対照表が掲載されるホームページのURLの登記が必要。そのため登記事項の変更手続費用が初回にかかるが、それ以外の費用はゼロ。

しかし、決算公告を電磁的方法によって行う場合、5年間継続して、全文を公告する必要があるという大きなデメリットがある(官報の場合、1回その要旨を公告すればOK)。全文とは、上場会社並みの事項(詳細な項目・個別注記表等)のこと。そのため、手間が掛かるうえ、詳細な事項を開示するため、会社にとって他社の目に触れられたくない財務情報まで長く開示することにもなる。

というわけで、その子会社社長には以下の通り回答しておいた。

「確かにURLの登記さえすれば翌年からはタダで決算公告ができますが、詳細な決算情報を5年という長期にわたって掲載しなければならないというデメリットも存在します。非上場会社の場合は実用的とは思えないので、官報で公告を出されてはいかかでしょうか。」

ちなみに、現在、未上場企業の9割が決算公告を出していないらしいが(そもそも義務を知らない経営者も多いと思われる)、会社法は976条2項で公告を怠った場合の罰則(100万円以下の過料)を定めていることは頭の片隅に置いておきたい。上場会社はグループ会社(子会社)が決算公告を怠っている場合、内部統制上指導した方がいいかもしれない。

<参考>
電子公告制度について(法務省)

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