「卒業ってことは、どこかの民間企業にもう内定したの」
「いや、僕は民間企業で働くってちょっと向いてそうになかったので、就職活動はしてないです」
「じゃあ公務員?」
「僕が公務員試験の勉強なんかするわけないじゃないですか」
「え、じゃあ卒業してからどうするの」
「今のバイト先でバイト続けようかなーと思って。フリーターっすよ」
「…。あのな、こういうこと言うのは嫌だが、数年前、リーマン・ショックで景気が悪くなった頃に、ニュースで派遣切りとか派遣村問題って騒いでいただろ?下手したら、また不景気が訪れた際、あの人たちと同じ状態になってしまうかもしれないぞ」
「いや大丈夫ですよ」
「へ?」
「だって、僕は解雇されても、あんな風にみっともなく市役所に掛け合ったりしませんから」
・・・。
ああそうですか。って、何が大丈夫だ!
それ以上この話題には触れなかったが、将来彼がホームレスになるのではないかと少し不安になった。女であれば、結婚して専業主婦になるという必殺技があるが、今の日本社会で「主夫」はまだまだ難しい。男で生まれてしまった以上、生きるためには金を稼がねばならんのだ。
ちなみに、ご両親に話を伺ってみたが、説得しようとしても終始こんな感じで、もう諦めているそうだ。ニートにならないだけマシとか…。ちなみに彼、1人でいる時は、ずっと「ニンテンドー3DS」で遊んでいた。流行りのポケモンgoは移動するのが面倒でやっていないらしい。
レアなケースだとは思うが、こういう人種が現在大量に発生しているとすれば、この国の将来は真っ暗だな。 またいつか彼に再会したとき、彼は一体何をしているだろうか。彼の将来が不安になった。
いや、その前に俺の将来か…。
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